リカルド・カラフィオーリがフットボールに少しカオスな色を塗る
今日はリカルド・カラフィオーリの話がしたい。
我々は今、サッカーが少し機械的に感じられる時代に生きている。戦術がチームのプレースタイルを大きく左右する時代だ。もちろん、ヨーロッパにも世界中にも素晴らしい選手は数多く存在するが、監督が決めた戦術プランという枠を超えて自由にプレーできる選手は、ごくわずかしかいないように感じられる。
また、アルテタは極めて緻密な準備を行う監督だ。新加入選手たちは口をそろえて「彼から学ぶことが多い」と語る。
デクラン・ライスは何度もその話をし、先週はエベレチ・エゼも「頭が引き伸ばされているようだ」と表現していた。
だがそんな中で、アーセナルではひとりのCB兼左サイドバックが、まるで馬のディスコで理想の牝馬を探し回る牡馬のように、ピッチを縦横無尽に駆け回っている。
カラフィオーリは一見、アルテタのチームらしからぬ存在に見える。しかしウエストハム戦の後、監督はこう語った。
「彼は非常にダイナミックだ。ときに少し混沌としているが、彼のダイナミズムと、作り出すスペースや状況は相手にとって制御が難しい。特に組織的なチームに対してはね。相手の秩序を乱さなければチャンスは作れない。我々はそれをうまくやれたと思う。」
つまり、混沌の中にも理屈があるということだ。
当然ながらアルテタの下で完全な自由が与えられる選手はいない。だが、私は個人的にはカラフィオーリのスタイルが好きだ。単純に見ていて楽しいからだ。
以前ポッドキャストでも触れたがテニスファンなら、かつて選手たちが今よりはるかに個性的だった時代を覚えているだろう。イリ・ナスターゼ、ジョン・マッケンロー、ジミー・コナーズといった選手たちは、圧倒的な才能を持ち、まさに型破りな選手たちだった
やがてテニス界には新たな時代が訪れ、機械のように精密なプレーが質と安定性の両面で観る者を圧倒したが、以前の時代のような選手たちの個性は失われていった。
サッカーも同じ道を歩んできた。プロフェッショナリズムと高い基準を求める流れの中で、即興プレーを見せる選手は減っていった。
かつて、そうした選手たちはプレーと同じように人生も奔放に生きていた。しかし現代では、それはほぼ両立不可能である。たとえばロナウジーニョのように、カジノの上のホテルに住み、ピッチで暴れ、夜通しパーティーを続ける、そんな生活はもう通用しない。
彼らの才能は比類なきものだったが、いかに才能のある選手であっても、現代の監督たちがそういったライフスタイルを寛容に扱うことはもうない。サッカーのフィジカルの水準があまりに変化したからだ。
もちろん、カラフィオーリがロナウジーニョと同じ才能を持つということが言いたいわけではない。ただ、彼にはあの時代の名残がある。彼は見ていて楽しい。アルテタが言うように、確かにダイナミックで、どこか混沌としている。その証拠がウエストハム戦のボールタッチのマップだ。

アーセナルの選手で今季プレミアリーグで最も高いxGを記録しているのはヴィクトル・ギョケレシュ(3.0)だが、同率2位にいるのがカラフィオーリ(1.8)だ。ちなみに、並んでいるのは同じくサイドバックのユリエン・ティンバーである。
シュート数もギョケレス(14本)と並んで最多で、さらに、アシスト数(2)でもデクラン・ライス、エゼと並んでトップタイとなっている。まだシーズン序盤ではあるが、彼がチームにもたらしているものの大きさは明白だ。
ハマーズ戦では、前半終了間際には通常の左サイドバックの位置にいたカラフィオーリが、20秒後にはペナルティエリア手前まで入り込み、右足でポスト直撃のシュートを放った。


リプレイを見れば、彼がジャロッド・ボーエンより一瞬早くボールに触っているのがわかる。まるでストライカーのようなタイミングの取り方で、まったくDFらしからぬプレイだった。
ハーフウェイライン付近で相手のカットインに対応しきれずイエローカードを受ける場面など、まだ粗い面もあり、改善の余地はある。しかし守備面でも昨季より明確に成長している。
加えて、今季は継続的にプレーできていることも大きい。昨季彼を悩ませた怪我を回避できており、このまま調子をを維持できれば、彼は今後ますます重要な存在になるだろう。
アルテタには左サイドにマイルズ・ルイス=スケリーやピエロ・ヒンカピエというオプションもあるが、今のところカラフィオーリがその座を手放す様子はない。
アルテタの下で、アーセナルには勝利を重ね、ビッグタイトルを掴むという明確な目標がある。だがカラフィオーリはその明確に定義した輪郭のほんの少し外側も時々走り、色を塗る。彼はそのようなプレイを恐れないのだ。
カラフィオーリはサッカーを楽しいものとして描き出してくれる。タオルの有無にかかわらず、私たちはもしかすると、そのような楽しさを人生においてもう少しだけ必要としているのかもしれない。
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