【アーセナル新加入】スカウトレポート: クリスティアン・ノアゴール
アーセナルはこれまで、移籍交渉を迅速かつ効率的に進めるクラブとして知られてきたわけではない。
交渉は駆け引きの連続であり、最善の条件を引き出すために時間が必要なこともある。だが、時には迅速な対応を迫られることもあり、今回のクリスティアン・ノアゴール獲得はその典型例だった。
わずか6時間で問い合わせから合意成立に進み、最終的な契約締結となった。
この動きの背景には、トーマス・パーティの退団があった。アーセナルは条件面で折り合いがつかなかったため彼と契約延長の合意に至らず、6月にフラメンゴへの移籍が決まったジョルジーニョに続き、アーセナルは重要ななエリアで、経験、リーダーシップ、知見を持った選手を同時に2人失うことになったのだ。
その穴を埋めるためにアーセナルが注目したのが、ブレントフォードのキャプテン、ノアゴールだった。
ブレントフォードは2021年のプレミアリーグ昇格以来、革新的なクラブとして高い評価を得ており、スカウティングにも定評がある。
アイヴァン・トニー、ダビド・ラヤ、ベンラーマ、そしてエンベウモといった選手たちは、獲得時よりも大幅に高額な移籍金で売却されてきた。彼らが高評価されている点の一つにプレミアリーグで安定してプレイできていることもあるが、ノアゴールもまさにその象徴だ。
彼はトーマス・フランク監督のもとで262試合に出場し、彼に最も多く起用された選手でもある。
ノアゴールがイングランドでここまで活躍できると予想した者は少なかったに違いないが、今やプレミアリーグ常連になったクラブの発展と合わせる形で彼は個人としても成長し、キャプテンにまで上り詰めた。
ノアゴールのプレイスタイル
守備力と走行距離
では、アーセナルが獲得するノアゴールとはいったいどのような選手なのだろうか。
一言でいうのであれば、彼は「守備的でボール奪取に長けたMF」だ。ズビメンディと同様に、クラブでも代表でも6番の位置でプレイするが、ブレントフォードではヤネルトやダムスゴーアと連携し、より自由度がありと柔軟性を持って前方へ出る役割も果たす。
デンマーク代表では、ホイビュアと伝統的なダブルボランチを組むことが多い。
Optaのデータによれば、ノアゴーアは昨季プレミアリーグでミドルサードにおけるボール奪取数で2位(112回)、インターセプト数では8位(49回)だった。彼の最も得意とするゾーンはペナルティエリアとハーフラインの間であるが、アタッキングサードでの貢献やマンマークによるプレッシング能力も高い。
さらに特筆すべきは、彼がリーグでデビューしてからの4年間で記録したインターセプト数が201回と、同期間でリーグ最多である点だ。ボール回収も合計844回で2位、タックル成功数では189回で3位にランクインしている。
彼のボール奪取スタイルは非常に積極的であり、読みや足を伸ばしてというより、体ごとぶつかっていくタイプである。それはガブリエル・マルティネッリが良く知っていることだろう。
年齢やフィジカル面での衰えを不安視する声もあるかもしれないが、ノアゴールは常にプレミアリーグで高い走行距離に位置してきた。昨季も、プレミアリーグ全体で最も走行距離の長い選手20人に入っており、スピードはなくとも広範囲をカバーできる能力を証明している。もちろん、年を重ねるとともにこれは低下するだろうし、アーセナルではがむしゃらに走るというより、より高いポジショニングの意識が求められるだろうが、心強い材料であることに変わりはない。
ボール保持時のプレイ
アーセナルの守備的ミッドフィールダーには、ブレントフォード以上にボール保持時のプレイ精度が求められる。ノアゴーアはジョルジーニョのようにボールを自在に操ることはできないだろう(そもそもそのようなプレイが出来る選手は少ない)。また、ゴールに背を向けた状態でボールを受け、細かい足技でプレッシャーをかわしたり、パーテイのようなノータッチターンで方向を変えるようなプレーも期待はできない。
ここで考慮すべきは、アーセナルとブレントフォードのプレースタイルの違いである。
ブレントフォードは非常にダイレクトなチームであり、トランジション時に中盤を飛ばしてゴールに迫ることを狙う。シャーデ、ウィサ、そして特にエンベウモがスペースに走り込む形が基本だ。
これはデータにも表れており、昨季ノアゴーアの前方へのパス率は35.29%で、アーセナルのどのMFよりも高い数字だった。
彼のパスは精度よりもダイレクトさを重視しており、これは以前紹介したズビメンディにも共通する特徴だ。
ただし、ノアゴールは昨季、ライン間を通すパス成功数でもリーグ10位にランクインしており、後方からボールを前に進めるパスを出せる選手であることが証明されている。チームの戦術的な差は、彼が順応する必要がある課題とはなるだろうが、彼ほどの経験豊富な選手であれば、そこまで時間はかからないだろう。
セットプレイでの貢献
また、最近のアーセナルの攻撃に欠かせないのがセットプレイだが、ノアゴールはこの分野でも大きな力を発揮する。
彼がブレントフォードで決めた11ゴールのうち9つはセットプレーからのものであり、ノアゴールがセットプレイからはなったシュートの合計xGは10.26に達する。これは、ガブリエル(14.44xG)、ファビアン・シェア(10.55xG)に次ぐ数字だ。
まとめ
ノアゴールの獲得は2023年1月の移籍市場を思い起こさせるものがある。当時アーセナルはプレミアリーグ湯優勝争いの中でムドリクやカイセドを狙ったが獲得することは出来ず、最終的にジョルジーニョとトロサールを獲得した。
この補強は当初はファンからの評判はあまりよくなかったが、結果的には二人ともチームにとってプラスだった。結果的にタイトルには手が届かなかったものの、アーセナルはここから2度リーグ優勝争いを演じた。
究極的には、サッカーには循環が必要で、変化は質的な部分以外でも、選手やチームの意識をリフレッシュするために不可欠だ。
また、新たな選手はチームが戦術的に進化するチャンスも与えてくれる。昨季はアーセナルの攻略法が対戦相手に見抜かれてしまっているのではないかという声も上がっていた。
ノアゴーアはパーテイの後任ではなく、それはズビメンディの役割だろう。
どちらかというと彼はジョルジーニョの後任であるというのが適切だろう。
ライスはアルテタの下で最近より前の位置で仕事を果たす選手へと進化しており、中盤に空いた穴を埋めるには、ノアゴールのような経験豊富な即戦力をアーセナルは必要としていた。
若手が学びながら成長するには時間がかかるが、中盤の心臓というのは若手を育てる余裕があまりないポジションでもある。
ノアゴール獲得に関しては、そこまで複雑に考える必要はないだろう。アーセナルは、比較的安価で信頼できるプレミアリーグのベテランを獲得した。ブレントフォードは長年クラブに貢献したキャプテンを送り出し、チームの世代交代の機会を得る。そしてノアゴール本人は、キャリアの終盤に、トロフィー獲得のチャンスを手にする。
彼はアーセナルの地平を一変させる選手ではないかもしれない。だが、チームを洗練させるには時にはシンプルさも重要なのだ。
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