アルテタの思い描く左8番像とミケル・メリーノ
最近ミケル・メリーノが何度か話題に上がっているが、ブレントフォード戦はまさになぜクラブが彼を獲得したのかを示していた試合だったように思う。
最近のアーセナルが長身の選手を多く獲得しているのは偶然ではなく、そして水曜日の試合でアーセナルが彼に浮き球を集めようとしていたことからもそれは見て取れた。
ヘディングではなかったものの実際に彼は得点を挙げたし、そしてアーセナルの3点目にも絡んでいた。
それに繋がったヌワネリのクロスは、ハヴァーツを狙うサカのクロスを彷彿とさせるものだった。これにネイサン・コリンズは対応したが、メリーノの経験と、ほんの少し彼が相手を押したことで、クリアはマルティネッリのとことにこぼれ、そこから良いシューとで彼が得点を決めた。
アシストではないが、このゴールにもメリーノが一役買っていた。
ファンの間では攻撃的MFの位置に、もう少し違うタイプが必要なのではないかという声もあり、それも理解はできる。
確かに、もし今のアーセナルで少しだけ滑らかさを欠く部分がどこかあるとすれば、その一つは左8番のポジションだろう。
このポジションでのグラニト・ジャカのパフォーマンスは素晴らしかったが、彼はこの時すでにアーセナルで何年もプレイした経験があり、一緒にプレイするチームメイトとも連携を築き上げていた。
そしてそのジャカですら、時折バタついて見えることもあった。
彼がクラブを去ったのちにアーセナルが後継として獲得したのはカイ・ハヴァーツだったが、彼も最初はかなり苦戦していた。その後彼はメインのポジションをFWに移した。
もちろんハヴァーツをMFとして起用してアーセナルが勝利を収めた試合もあるが、彼を中盤に起用した際には、少しチームがいつもと異なるというのは見て取れた。
彼はポゼッション時に非常に安定している、というタイプではないし、どちらかというと最前線でプレイした方がチームにもたらせるものが多い選手に見える。実際に、今季多くの試合をストライカーとしてプレイしており、ハヴァーツは現チームの得点王だ。
メリーノはハヴァーツよりもMFよりの選手ではあるが、フィジカルとスキル的に彼もまた、ジャカやハヴァーツと同じタイプの選手だという比較をするのはそこまで的外れではないだろう。
当然ハヴァーツにも同じことがいえるが、ジャカがこの位置でプレイしていた時にはすでに何年も同じチーム出プレイしてきたチームメイトが周りにいたという違いがあり、連携を築くのにはある程度時間がかかるというのは留意すべきだ。
ただいずれにせよ、恐らくここから我々は彼ら3人のようなタイプの選手を左8番のポジションに、少なくとも現段階では求めている、という結論を導き出すことは出来るだろう。
私も含め、何人かのアーセナルファンはどちらかというとよりエゼやモーガン・ギブス=ホワイトに近いようなタイプの選手をこの位置に置く方が良いのではないか、と感じることもあるかもしれないが、どうやらこれはアルテタの考えとは異なるようだ。
もちろん今後メリーノはさらによくなるはずだし、よりプレミアリーグで安定した出場機会を得れば、チームメイトとの連携も深まるだろう。
『ミケル・メリーノはチームのレベルをワンランク上に引き上げるような選手か?』という問いに対する答えはノーだが、彼は悪くない、機能的な選手だ。彼が何をもたらせるかはブレントフォード戦を見れば明らかだ。
ハヴァーツがおらず、かつライスがベンチにいた状況で途中交代で出場し、メリーノは結果を残し、アーセナルが難しいアウェイの試合を勝ち切るのを助けた。
確かに、アーセナルの中盤により多くを求めたいのも理解できるし、長期的に見れば、アーセナルがどのようなMFを獲得できるかはFWの獲得と同じくらい重要だ。
だが現在のチームでは、メリーノは非常に重要な役割を果たし、チームを勝利に導くことができる。彼は絶対的なエースというよりもチームの一員の補強、というタイプの獲得だが、過去に何度も我々は、こういった選手がいないと過密日程に対応するのがいかに難しいかを見てきた。
もしかすると、アルテタはメリーノに少し現役時代の自身を重ねているのかもしれない。
名前とソシエダとの関係性だけでなく、メリーノもまたキャリアの終盤でアーセナルのようなビッグクラブにやってきた選手だ。メリーノは獲得時には28歳で、アルテタがアーセナルに来たのは29歳の時だった。
アルテタのような細かな部分に拘る人物でも、監督というのはときどき直観に基づいて行動することもある。
アルテタはブレントフォード戦でヌワネリは15歳でプレミアリーグ最年少デビューを果たしており、その彼が初先発をこの試合で相応しいと感じたと述べていた。
もちろん、選手獲得前には詳細な分析が行われるはずで、アルテタが自身との共通点があるからメリーノ獲得を決めた、ということではないだろうが、ブレントフォード戦を終えた後、ミケル・アルテタはもう一人のミケルの活躍に非常に嬉しそうだった。
これから今季終了まで、このような場面がさらに何度も見られることを願おう。
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