【戦術コラム】30万本のパスを回す退屈なアーセナル?
2022/23シーズンのサプライズのタイトルレース参戦のスリルはさり、今季はそれを繰り返せるかの期待とプレッシャーに置き換わっている。
そして、これはファンのアーセナルの見方に影響を与えただけではなく、対戦相手にとっても同様だ。今季のアーセナルは相手チームがより低く構えて守り、カウンターを狙う、というスタイルで迎え撃とうとすることが増えている。
このような変化にどう対応すべきか、ミケル・アルテタは夏中考えたに違いないが、どうやらよりボールをもって試合をコントロールすることが効果的だという結論に達したようだ。
これはつまり、出来る限り相手に自陣のペナルティエリア近くで相手がボールを持つ回数を減らすということだ。
昨季のアーセナルは良くも悪くも劇的な試合展開も多かったが、今季はエモーショナルでカオティックなフットボールを減らすことを目指しているようだ。
もちろん、カオスはセオリー通りのプレイを減らし、予想外の展開をもたらす効果があるが、アーセナルは基本的にプレミアリーグの他のチームよりも優位に立てることが多く、わざわざ波乱を巻き起こす必要はなく、これらを抑えるべきだということだろう。
エヴァートン戦後にアルテタは
我々はボールを持ちたいエリアで、我々が望んだとおりのやり方で長くボールを持つことが出来たし、とてもソリッドだった。相手にほとんどチャンスを与えなかったね。
とコメントした。
確かに、アーセナルはアルテタが望んだとおり、ずっとエヴァートン陣内でボールをゆっくりと回し続け、これによりエヴァートンの攻撃は封じられた。
そして、これは今季ここまでのアーセナルの全ての試合に見られる傾向だ。
ここまでの所アーセナルはまだマンチェスター・ユナイテッド相手のホーム戦以外でのトップクラブとの対戦がないが、同じクラブ相手の数字で記録しても、今季の変化は見て取れる。
10人でプレイする時間が長かったクリスタル・パレス戦でさえも、アーセナルはポゼッションとテリトリーをコントロールしようとする意志が見えたし、ユナイテッド戦でアーセナルはハイラインを相手に突かれるリスクを冒すよりも、相手が低い位置でボールを回すことは許容し、そこからボールを前に進めさせるのを阻むという作戦をとった。
このアプローチにより、試合が単調な時間が増えるかもしれないが、長い目で見ればアーセナルが足元をすくわれる可能性を減らしてくるはずだ。
アーセナルはリスクをとらず、じっくりと相手を崩していく、ということを重視している。
ここまでの所、チームは相手のチャンスを抑えることに成功しているものの、それと引き換えに攻撃力も少し抑えられており、大きん点差で勝つことが出来ていない。
今後の監督の課題は、試合をコントロールすることと、何点かリードを奪い試合を決めてしまうこととの適切なバランスを見出すことになるだろう。
とはいえ、今のコントロールアーセナルの形が恐らくアルテタが以前から望んでいたものであることは疑いの余地がなく、21/22シーズンから既に『3-1になった時点でパスを30万本回せば良かったのだ』といった風にチームの試合のコントロール力を嘆くコメントをしたりもしていた。
終盤までオープンな展開が続く試合をアルテタは防ごうとしており、少しずつアーセナルは30万本のパスを回す方向性にシフトしているようだ。
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