ラカゼットの得点不足に関して
アーセナルが残念な敗北を喫した後の月曜の朝というのはいつあって憂鬱なものだ。我々は一週間かけてショックを受け止め、分析し、何が間違っていたのかを繰り返し見つめ、そしてどうすればよいのかと考えることになる。
小さなスカッドを抱えるデメリットは、監督にとって選手を信頼する以外の選択肢がほとんどないことだ。彼らはここまで良いプレイを見せ、アーセナルを上位に導いたが、最近はトップ4を勝ち取ることの難しさに狼狽してしまっているように見える。
ブライトン戦後のラムズデールのコメントは興味深かった。彼によると、選手たちは、パレス戦の敗北後かなりプレッシャーを感じているようだ。
前半俺たちはとてもスローで、緊張していた。来週はもっと監督やコーチの言っていることを信頼して、自然にプレイしなくてはならない。もっとシンプルに、自分たちのサッカーをするんだ。それは今季を通じてずっと行えてきたことだ。この試合ではアーセナルはリズムに乗れず、これは俺たちらしくないことだった。しかもホームでもあったわけだからね。
確かに、この試合の雰囲気は今季を通してホームでの空気感が非常に良かったこととは対照的だった。
チームのメンバー選考がバランスを欠いたことはその原因の一部ではあるだろう。もしもっと中盤の主導権を握れていれば試合展開は変わったものになっただろうし、それに観衆も呼応したはずだ。
だが、ラムズデールも語っていた通り、本当ならば、この試合ではパレス戦の敗北に対するリアクションが見られるはずだった。しかし、それはなかった。緊張なのかプレッシャーなのか、あるいはまったく別の要因なのか、判別は難しい。
そして、ラカゼットの不調とゴール欠乏症に関して聞かれたアルテタの返答も興味深いものだった。
我々は得点しなくてはならないのは間違いない。これはチーム全体の問題だ。
その後続けて、ラカゼットの得点以外のプレイには満足しているか?と問われアルテタはこう答えた。
私は試合に負けた時に満足は出来ない。ショックを受けているよ。
ここまでアルテタを見てきたアーセナルファンからすれば、このような返答はまったく驚きではなかった。彼は一人の選手をやり玉に挙げて責めるようなタイプの監督ではない。
確かに、アルテタの言うことにも一理ある。得点はチーム全体で行うものだ。
しかし、サッカーチームには1つ、あるいは2つほど、点を決める事がメインの仕事であるポジションがある。そして、ラカゼットはその仕事をこなしていない。彼は我々のシェーン・ロングになってしまった。しかも相手を嫌がらせるプレイの部分は抜きだ。
実際の所、彼の今季の不調は驚くべきものだ。昨季彼は17点、プレミアリーグで13点を記録していた。148分あたり1点という数字だった。
これはワールドクラスとは言えないが、オーバメヤンのセカンドチョイスとしてのプレイが主だったことを考えると悪くない数字だ。そのオーバメヤンはプレミアリーグで10点しか決めておらず234分あたり1点と、ラカゼットより少ない得点数だった。
一方今季ラカゼットはプレミアリーグで4点しか決めておらず、そのうちの2つはPKなので、オープンプレイからは2点のみだ。なんと1点決めるのに429分かかっている計算になる。
正直に言って、これだけ得点が少ないFWをストライカーに据えてアーセナルがCL出場権を獲得できるとは思えない。
上位争いを演じるにあたって、得点力不足は常に心配の種であり、サカやスミスロウ、マルティネッリとウーデゴールといった若手は得点を重ねてチームを助けているが、彼らに頼り切ってチームを4位まで引っ張り上げてくれることを期待するのは難しいだろう。
これが非常に特異な状況だったのは明らかで、オーバメヤンに関して監督が下した決断を蒸し返すことにあまり意味があるとも思えないが、より問題だったのは1月に選手の補強を行わなかったことだろう。
もちろん、監督がベストだと思わない選手に大金を支払う必要はないが、例えば、ローンで獲得できるストライカーは本当に一人もいなかったのだろうか?
これもまた、もうシーズンも終盤に近付いている今となってはどうしようもないことだが、冬の時点でこの決断はリスクに感じられたし、今苦々しくこの時のことを思い返さずにはいられない。
今のアーセナルにとってストライカーが最大の問題であることは間違いなく、ある程度の得点を決められるストライカーを擁していないチームがトップ4入りを果たしたことが未だかつてあっただろうか?
だからこそ、アルテタはシーズン最終盤で何かしらの手を打たなければならない。彼は辛抱強くラカゼットにありとあらゆるチャンスを与えてきたが、もし今季を救おうとするのであれば、これだけラカゼットは得点を決められないという証拠が揃っている中ただ彼が復調してくれることを祈り続けるわけにはいかない。
とうぜん、その代わりとなる解決策としてアルテタが何を選ぶのかは今後注目だ。私としてはマルティネッリのトップ起用を見て見たいと思っている。
もしかすると、アルテタがタヴァレスを信頼していない点、そしてジャカの左サイドバック起用が機能していないことを考えると、ストライカーだけではなくもっと劇的にフォーメーションの変更なども考慮されているかもしれない。
その場合は3-4-3でウイングバックを起用するフォーメーションなどもオプションになるだろう。これは理想的な形だとは言えないが、今のチームの好調の期間は終わり、停滞してしまっているのは明らかだ。チームに正目力を吹き込むためには、何か違うことを試してみる必要がある。
ここからアーセナルの復活が始まることを祈ろう。
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