アーセナルの最近のシステムの変化がチームにもたらしたもの 後編
前編はこちら!
以前との違いは柔軟性
現在のアーセナルのアプローチと、以前までのアーセナルとの大きな違いは、この決まりは厳格すぎるものではないという点だ。
今も時々はティアニーはオーバーラップを行うし、その場合は右サイドバックのセドリックがより守備的なポジショニングを取る。
例えば、ブレントフォード戦でのスミスロウの得点の場面ではティアニーが外を走り、ジャカとセドリックが以前のアルテタアーセナルで決まっていた様な場所に位置していた。違いは、彼らが一試合を通してずっとそれを行っていたわけではなかったという点だけだ。
陣地の保持がカギで、アーセナルは構成する人員を入れ替えながら同じ形を作り上げることが出来ていた。これにより、攻撃時にはジャカに依存しすぎるということもないし、逆にティアニーが守備に追われて全く攻撃に参加できないということもない。
ジャカがペナルティエリア内でオプションとなるような時もあった一方で、何度かティアニーのオーバーラップも見られた。
ジャカは場合に応じて前に上がらずに留まるようなプレイを見せていたし、この場合、ティアニーは大外に立っているわけではなく、後から飛び込んでくることになるため、より相手にとって危険な存在となれる。
より多様になったティアニーのポジショニング
もちろん今までのようにティアニーが左サイドの高い位置でボールを受ける場面がなくなったわけではない。だが、それに加えて彼はより自陣のゴールに近い位置でボールを受ける回数も増加している。
さらに、直近の数試合では、ティアニーが外ではなく内側から前に上がっていく場面も何度か見られている。これによりアーセナルの攻撃は更にバリエーション豊かに、そして多くのポジションチェンジが発生するようになった。
彼は相手DFを引き付けて、外でウイングが即座にプレスに晒されずにボールを受けられるような形を作ったりもしており、これによりスミスロウをマークするのがより難しくなったりもしていた。そして、この場合は後ろのカバーはジャカが担当していた。
変わらない布陣と変わる人員
ここまで見た通り、最近のアーセナルの布陣は何か形が変わったわけではない。一人が大外で幅を取り、もう一人がその内側でプレイし、そして誰か一人は少し中に入った左サイドバックの位置でカバーを行う。
だが、選手のローテーションの頻度が上がっており、数秒の間にこのトライアングルの一番後ろをティアニーが務め、大外がスミスロウという形からティアニーが大外を上がってジャカが後ろに下がるという形に変化したりなどといったバリエーションが生まれている。
これにより、相手が予想しない外から中への選手の動きなどが起こり、外の選手にスペースが与えられる場面が発生している。
まとめ
今回の記事ではアーセナルの左サイドに焦点を当てて解説してきたが、右サイドの攻撃も変化し、ウーデゴールとサカが躍動している。サイドバックがセドリックの場合と冨安が復帰した場合で、形が変化するかどうかは今後興味深い点だが、右サイドで生まれつつあるサカとウーデゴールの関係性についてはまた次回解説することにしよう。
アーセナルの左サイドに関して言えば、究極的には行われているプレイは以前と特に変わっていない。だが、そのやり方とそれぞれが担当する役割が変わっており、ここまでの所、この変更は結果を出している。
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