【徹底分析】アレクサンダー・イサク: スカウトレポート 前編
イブラヒモビッチと同じくスウェーデン出身で、彼の後継者と目されている22歳のストライカー、アレクサンダー・イサクは急速に成長を遂げている。
才能のある若手の発掘が得意なことで知られるボルシア・ドルトムントが彼を見逃してしまい、19歳の頃のイサクに適応のための時間が与えられなかったのは少々奇妙だが、レアル・ソシエダはそのおかげで比較的少額な移籍金で将来有望なストライカーを獲得することが出来た。
イサクとイブラヒモビッチは国籍以外にもいくつか共通点がある。イサクは190cmと長身で、背は高いがスリムなタイプ(若いころのイブラヒモビッチもかなり痩せていた)、そしてその身長にもかかわらず高い技術を備えている。
イサクはフィジカル面に秀でているだけではなく、知的でスマートなランも見せられ、チームメイトの連携も上手い選手だ。彼が今後どのような存在になるのかは非常に興味深い。
知的なポジショニングと走り込み
イサクはまだ若いが、相手守備陣がどのようなプレイを嫌がるかを知っている知的なストライカーだ。特にポジショニングと走り込みが素晴らしい。
彼は相手DFの間にポジションを獲ることが多く、走り込みを見せた際にどちらがマークにつくべきなのかを迷わせ続ける。
もし相手DFの一人がイサクのポジショニングに気づいていなければ、もう一人のDFが彼を追って走らねばならず、相手の守備陣の形をかき乱せることになる。
下の画像のレアル・ベティス戦がその良い例で、イサクは相手CB2人の間に位置取って、右CBの裏に走り込んだ。この時のベティスの右CBマンディはボール保持者であるナチョ・モンレアルに気をとられており、イサクの走り込みに気づくのが遅れた。
結果的にオフサイドにはなってしまったが、このシーンはきわどいチャンスとなった。
似たような動きで、彼はソシエダがクロスを上げる時にも良い走り込みも見せる。彼のボックスへのランはニアポストやファーポストへのものなど、いつも一定ではないので、相手DFにとって予測が難しいものとなっている。
イサクは状況を分析し、どのような走り込みが最適かを決めるが、例えば高いクロスに合わせる場合は彼は裏へ抜ける時と同じように、相手DFの間のポジションをとり、どちらにもマークされないような位置をキープして相手が気づくのが遅れればその隙を突けるようにしている。
ベティス戦では、イサクは左からのクロスを予期しており、右サイドで相手のCBとサイドバックの間にポジションを取っていた。
以下の画像のような場面では、このようなケースで危険なクロスを受けられる唯一の形である、ボール保持者に対して斜めに走り抜けられるような位置を彼は取る。
また、以下の画像の場面ではイサクは後ろから走り込んでおり、どちらに走るか選択することが出来る。チームメイトのヤヌザイが既にファーに走り込み始めていたため、ここではイサクはスピードを上げ、ニアへの走り込みを選択した。
このケースではバルセロナのCBにうまく読まれ、結果的にボールは届かなかったが、このようなスプリント力は、自分の前のボールに追いつくのに必須だ。
低い位置に降りてのプレイ①
イサクは、単なるターゲットマンではなく、低い位置まで下りて、ボールに関わろうとするタイプのFWでもあり、彼はそのために必要な技術面の素質を備えている。
彼が下がってボール回しを助けることによって、イサクを追って相手DFが付いてくるかに応じて、いくつかのオプションが生まれる。
もし下りてくるイサクに相手がついてくるのであれば、最終ラインはその分穴が開くことになるし、逆に誰もついてこなければ、イサクがパスの受け手のオプションになることができる。
イサクに相手DFがついてきた場合は、彼はそれを認識しており、ボールを受けるとすぐに、チームメイトが彼の空けたスペースを活用できるように素早くパスを出そうとする、という場面が繰り返し見られる。
このようなプレイが見られた例が以下のレアル・ベティス戦だ。下がるイサクに対してヴィクター・ルイスがついていっており、同時にポルトゥが裏のスペースに近づいていっているのがわかる。
ここでスベルディアはイサクにパスを出し、それを彼はダイレクトでミケル・メリノに返したが、ここからメリノは空いたスペースに向けてポルトゥへのスルーパスを出した。
これは、イサクが自身が後ろに降りるプレイの目的、そしてこのような場合は素早くボールを回す必要があるということをしっかりと理解しているという証だ。
(後編に続きます)
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