【アーセナルのターゲット】スカウトレポート: ドミニク・カルバート=ルイン
アーセナルで現状プレイできるストライカーはラカゼットとエンケティアの二人しかおらず、彼らは二人とも今季末に契約満了を迎える。若手のバログンは成長を助けるために一月のローン移籍の可能性が高く、アーセナルが新たなストライカーを必要としているのは周知の事実だ。
クラブは積極的にストライカーを探しており、ヴラホヴィッチやジョナサン・デイビッド、アーサー・カブラルやリシャルリソン、ドミニク・カルバート=ルインといった名前が噂に上がっている。
カルバート=ルインの獲得には70m£程度の移籍金が必要となる見込みだが、彼はかなりファンからの評判は高い。実際にカルバート=ルインにはそれだけの移籍金を支払う価値があると言えるのか、過去2シーズン(彼がそれぞれ22歳、23歳のシーズン)のパフォーマンスを分析してみよう。
カルバート=ルインの強み: 空中戦とボール保持
まず彼の強みから始めよう。彼は非常に空中戦に強く、そして地上も含めた総合的な得点能力はなかなか良い。オーバメヤンもラカゼットも空中戦勝率は30%前後に留まっており、アーセナルファンがより空中戦に強いストライカーを求めるのも理解できる。
カルバート=ルインはプレミアリーグでもトップレベルに空中戦が強いストライカーの一人だ。彼の数字をコンスタントに上回っているのはクリスティアン・ベンテケ一人のみだ。
ボールを失わず保持できることはアーセナルにとって非常に重要だが、カルバート=ルインはこの点でも優れている。ストライカーとしてはデュエルに勝利し、ボールをキープし続ける能力が非常に高く、プレミアリーグで彼と同水準にあるのはイヴァン・トニーくらいのものだ。
もし空中戦に勝利しボールを収める能力を重視するのであれば、国外に目を移せば、タミー・エイブラハムとパトリック・シックも似た素質を備えている。
カルバート=ルインの課題点: チャンス創出とプレス
逆に、カルバート=ルインがそこまで得意ではないこととしてはまずドリブルがある。これはそこまで大きな問題ではないかもしれないが、より気になるのがパスとプレスのスタッツがあまり高くない点だ。
パス成功率は66%とオーバメヤン/ラカゼットを下回っており、シュート創出アクションは2シーズンで106回、90分当たり1.8というのはオーバメヤンと大体同水準だが、ラカゼットと比べると90分当たり1回ほど低い。
ラカゼットはウエストハム戦で8度のシュート創出アクションを記録しており、この試合はチーム全体が非常に良いパフォーマンスを見せた。ストライカーがチャンスを創出できるかどうかはアーセナルにとってかなり重要になってくるだろう。
上の図はカルバート=ルインのシュート創出アクション数を他のストライカーと比べたものだ。彼は大きく平均を下回っているというほどではないが、オーバメヤンと比べてこの面に関してグレードアップしているとは言えない。
次にプレスだ。上述のウエストハム戦でラカゼットは8度のプレスを記録し、リーズ戦ではなんと15回のプレスをかけた。
チャンス創出と同じく、今のアルテタのアーセナルにとって前線からのプレスは重要そうだ。これをカルバート=ルインは効果的に行うことが出来るだろうか?
この点に関してはかなり判断が難しい。90分当たりのプレス数のパーセントランクは昨季22で、昨季はもう少しよく、35だった。比較対象となるオーバメヤンはそれぞれ25と17だ。
上はプレスとシュート創出アクション数をグラフにしたものだったが、昨季の成績は残念なものだが、19/20シーズンはそれよりは少し良かった。
チャンス創出アクション数が少ないのに関しては、恐らく選手自身の素質によるものに思えるが、プレスに関してはチームの戦術による違いも大きいため難しい。実際に昨季彼は5度以上プレスに成功した試合が7試合あった。
カルバート=ルインの得点力
一方でカルバート=ルインの得点能力に関しては、一見何の心配も必要なさそうに思える。2シーズンで29点というのはかなり良い数字だ。この得点にPKは含まれていないし、彼は大体xG通りの得点数を挙げている。
一点だけ心配なのは彼はかなり波があるタイプの選手だということだ。昨季12/5の時点で既に彼は11点を挙げていたが、その後の半年間、22試合で5点しか挙げられなかった。ショートコード
まとめ
アーセナルのストライカーのターゲットについて考慮しなくてはならないのは、全てを兼ね備えた完璧なストライカーはいないということだ。少なくともアーセナルの予算の範囲内では。
カルバート=ルインはその点、今のスカッドの若手志向にも合っているし、イングランドでの経験があり、ホームグロウンだ。フィジカルに秀で、多くの得点を決めている。
数字的には若干不安な点もなくはないが、基本的には多少高額の移籍金がかかったとしても良い獲得になるのではないだろうか。
ただし、アーセナルの予算や他のポジションの補強の必要性、FWの他のオプション獲得にかかるコストなども考慮すると、クラブの第一優先ターゲットではないかもしれない。
とはいえ、もし仮に冬にカルバート=ルインの獲得が決まるとすれば、アーセナルファンは彼を支持することだろう。
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