アーセナルは80m€を払ってドゥシャン・ヴラホヴィッチを獲得すべきか?

移籍海外記事

我々スマータースカウトは以前、アーセナルがペペに支払う移籍金は高すぎるのではないかという記事を出したが、 今回は報じられているドゥシャン・ヴラホヴィッチの獲得に関しても同じように考察していこう。

ヴラホヴィッチの将来性は間違いない

まず第一に勘違いすべきではないのは、ヴラホヴィッチは適切なチャンスさえあれば輝ける将来性のあるタレントだということだ。実際にスマータースカウト上でも有望な若手マークが付けられている。

ただし、有望な若手であれば誰でも80m€の移籍金を支払う価値があるというわけではない。彼の直近数シーズンのスタッツをプレミアリーグ基準に調節したものを見てみよう。

彼の決定力は悪くない。ヘディング以外のオープンプレイのシュートの決定力では最大が99の所62となっている。だが、彼の攻撃面でのアウトプットの数字は減少を続けており、今季は非常に低いものとなっている。

プレイスタイルの変遷

その理由を探るために、今季のフィオレンティーナでのヴラホヴィッチのプレイスタイルの変遷について解説していこう。

最も大きな変化は2つだ。
①ヴラホヴィッチはかつてはドリブラーだったが、今は平均的なストライカーよりもドリブル頻度が少ない
②ゴール前でのチームメイトへのパス数が増えているが、今季2アシストしか記録できておらず、これはチームのためになっているとは言えない

これがヴラホヴィッチが数字が下がっている要因だが、もしかするとこれは選手の問題というよりも、監督の方針という可能性もある。以下は彼のプレイエリアのマップの比較だが、明らかにポジショニングが変化している。

ヴラホヴィッチはより深い位置でのプレイが増え、幅広いエリアをカバーすることが増えている。19/20シーズンよりロングパス数も増えているし、シュートマップが示している通り、ボックス内のシュートは減少しており、これが彼に本当にあっているスタイルなのかは疑問の余地がある。

ゴールから遠い位置からのシュートも増えており、これが彼のシュートのクオリティが2020/21シーズンをピークに減少している理由の一つだ。

エディン・ジェコとの共通点

最適ではないポジションで、シュートのチャンスが減少しているにもかかわらず今季オープンプレイからの得点が多いのは、彼の新たに身に着けた決定力を示しているようだが、彼がxGを上回った十得点を挙げるのは実は今季が初めてのことだ。

ただ、決定力以外の点では、ヴラホヴィッチはプレミアリーグレベルでは少々物足りないと言わざるを得ない。アーセナルのようなクラブでは、より様々な貢献が求められることだろう。比較の対象となるのはプレミアリーグでのプレイ経験もあるエディン・ジェコだろう。

スタイル面では、今季のヴラホヴィッチのスタッツは19/20シーズンのエディン・ジェコのものとほぼ同一だ。ただし、ボールキープ、決定力の高さなどがよく似ているが、ジェコの方が空中戦に遥かに秀でており、11アシストを記録しており、パスも上手かった。

アーセナルでヴラホヴィッチのボールタッチ数は増加するか?

ではなぜ、アーセナルはヴラホヴィッチ獲得に興味を示しているのだろうか?

今季のヴラホヴィッチの決定力を重視しているのではない限りは、恐らく今の時点での能力というよりも彼の将来性を高く評価しており、アーセナルで実際にプレイすれば向上が見込めるということだろう。

フィオレンティーナのポゼッション比で見ると19/20シーズンのボールタッチ数1と比べ、今季ヴラホヴィッチは0.7しか記録できておらず、より攻撃に関わる頻度が増えれば、それに伴って数字も伸びることが予想される。

だが注意したいのは、オーバメヤンもまた、アーセナルのポゼッション比でボールタッチ数が0.7しかないという点だ。もしオーバメヤンの代役として獲得されるのであれば、ヴラホヴィッチのボールタッチ数はアーセナルで増加するのだろうか?

ラカゼットはボール保持時の1分当たりのボールタッチ数は1以上あるが、彼はヴラホヴィッチとはスタイルが全く異なる。

今季ラカゼットはかなりシュート数が少なく、またこれはラカゼットだけでなくオーバメヤンにも言えるが、ヴラホヴィッチよりもはるかにポストプレイに絡む回数が多い。

ヴラホヴィッチがスタイル面でアーセナルにフィットする可能性は高い

ただし、ミケル・アルテタのアーセナルはアーセン・ヴェンゲルのアーセナルとは大きく異なる。何度もトライアングルを作ってパスで相手陣を攻略するというよりも、相手の最終ラインをハイスピードに切り裂くというスタイルだ。

このようなサッカーであれば、ヴラホヴィッチ-特に19/20シーズンの数字を再現できるのであれば-はボールキープ力と1対1の能力は平凡ではあるものの、フィットしそうだ。

更に、彼はまだ21歳であり、キャリアのピークを迎えるまでにはまだ4,5年あるだろう。これは例えばペペが獲得時に24歳だったことを考えると一つのアドバンテージだ。

ただし、やはり将来の成長にかけて80m€を支払うというのは中々のリスクだ。この獲得は、そのリスクを冒すだけの価値があるものになるだろうか?

source:


本日のニュースレターでは、アーセナルの冬の補強ポイントに関する記事を配信しております!

ニュースレターへの無料登録はこちら!

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137