【徹底分析】アーセナルはパトリック・シックの獲得を目指すべきである 前編
遅かれ早かれ、どこかのタイミングでアーセナルはストライカーのポジションの解決策を見つけなくてはならない。キャプテンの座を奪われたオーバメヤンとの関係性は修復が難しそうで、エディー・エンケティアが移籍を望んでいる可能性は高い。ラカゼットは年齢的にもアーセナルの再建のためにもう1年クラブに留まりたいとは思わないだろう。
サッカーファンにはありがちなことだが、最悪のシナリオを想定すると、アーセナルはマルティネッリをセンターフォワードとして起用し、バログンを昇格させたうえで、それでもさらにストライカーが足りないという状況になる。
どちらにせよアーセナルはこの二人に出場機会は与えるべきだが、同時にもう一人、キャリアのピークを迎えるような25-27歳の年齢のストライカーを探すべきだ。
そしてそのストライカーはスタイル面でアーセナルに適応でき、かつストライカーの仕事、得点が出来る選手でなくてはならない。
1月の移籍市場、そしてその後に向けてアーセナルが獲得すべきストライカー候補を分析していこうと思うが、第一弾としてまずはレバークーゼン所属のパトリック・シックを見ていこう。
No. 6: Patrik Schick. He’s relatively secure on the ball and fair in aerials. Other than that, he’s scoring like a madman, with better than 1 non-penalty G per 90. He’s also overperforming his xG, so I think the goals will slow down, but his score will likely remain consistent. pic.twitter.com/Ms03NEg4hj
— Adam Rae Voge (@adamvoge) November 10, 2021
パトリック・シックのキャリアの経緯
多くの人がパトリック・シックの名前は聞いたことがあるだろうし、彼がユーロでスコットランド相手にハーフライン近くからゴールを決めたのを覚えていることだろう。
シックがプロサッカー選手を目指したきっかけはスパルタ・プラハvsマンチェスター・ユナイテッドの一戦でプレイしたウェイン・ルーニーを見たことだったそうだ。
彼はプラハのアカデミーで育ち、その後サンプドリアに2016年に移籍した。サンプドリアにはクアリアレッラとミュリエルがおり、移籍としては成功したとは言えなかったが、ついに最終的に出場機会を得たシーズンには13ゴールを挙げた。
ここからイタリアのクラブの多くが興味を示し始め、その後(ユヴェントスでメディカルに通らなかった、という経緯の後に)ローマへと40m€程度の移籍金で移籍することとなった。
だがこの移籍も失敗に終わり、ジェコからポジションを奪えず、4-3-3のウイングとして出場することになった。
この後ライプツィヒへとローンに出されたシックは28試合で10得点と悪くない数字を残したが、ライプツィヒは買取オプションを行使せず、そして2020年の9月にレバークーゼンへと移籍することとなった。その後ついにシックは花開き、レバークーゼンでここまでリーグ戦43試合で25ゴール9アシストを記録している。
パトリック・シックの特徴
シックは非常にオールラウンドなFWだ。彼はスピードもフィジカルもあり、中央で輝ける。CBとサイドバックの間を狙うのも得意だし、空中戦も強く、左利きのシュートは素晴らしい。ポドルスキを思い起こさせるほどのシュート力だ。
身長が186cmあるため少し意外だが、彼はスピードもあるし、かつ足元でのボール扱いも上手い。特に1対1での突破は悪くない。中盤との連携も上手いし、もちろんゴールを背にしてCBを背負ってのプレイも可能だ。
しいて言うのであれば、守備面での貢献に関してはまだ改善の余地がある点と、また良いパスのチャンスをトラップミスで逃してしまうことがある点が弱みだろうか。
総合的には、ヴラホヴィッチやドミニク・カルバート=ルインほどの派手さはないものの、この2人よりも恐らくかなり移籍金は安く、そして今季ヴラホヴィッチと同レベルのとんでもない数の得点を挙げている選手だ。
攻撃面
レバークーゼンの監督セオアネは4-2-3-1を用い、フローリアン・ウィルツの台頭もあり、このシステムでサイドのプレイヤーの強みを引き出そうとしている。
そして、それを中央で支えているのがパトリック・シックだ。彼はスリムだが力強い体格の持ち主で、長身なので伝統的なターゲットマンタイプのように見える。だが実際は彼はそれよりもはるかに万能型の選手だ。
アーセナルが流動的な攻撃を行うにあたってストライカーの動きは絶対に必要になる。彼らはボールに寄って行き、他の選手と連携するような動きも必要になるし、同時に他の選手のために走り込むスペースを空けるような走りも必要となる。
シックのプレイを見てまず気づくのは、彼が見た目に反して、最終ラインにずっと留まるタイプのFWではないという点だ。必要があればボールを受けに深い位置まで下りることもあるし、そこからサイドにボールを渡し、より高い位置でボールを受けるオプションとなるため走っていく。
また、プレミアリーグに選手が移籍する際には、いつだってフィジカル面の不安が付きまとうが、シックに関しては心配いらないだろう。彼は体の使い方が上手く、CB相手に空中戦で優位に立てるし、その体躯を活かしてボールを奪取したり、ボールを収めMFにボールを落とすようなプレイも出来る。
また、彼は足も比較的早く、相手DFを引き離して裏へ抜けることも出来る。
この能力もアーセナルでも役に立つことだろう。シックはゴール前に走り込むことにかけてはかなりの腕前で、相手CBの死角を突くことに長けている。
彼は相手CBとサイドバックの間に位置すると、状況に応じてそこから中でボールを受けることもあるし、逆に絶妙な動きでスルーパスを呼ぶことも出来る。
細かいタッチも得意なため相手DFに対して1対1を仕掛けることもでき、派手なフェイントは見せないがシンプルなスタイルで、たいていは少し肩を落とすだけで相手を突破することが出来る。
そして、何より特筆すべきは今季の彼の得点力は異次元のレベルにあるという点だ。今季シックはレバークーゼンで14試合に出場しているが、なんと既に16得点を挙げている。このうちPKは1点だけで、残りは比較的ゴールに近い位置からが多いが、バラエティに富んだパターンでのヘディングあるいは足でのシュートだ。
(後編に続きます)
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