ウィリアム・サリバのアーセナルでの将来は? 後編
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サリバをローンに出すことで成し遂げられること
予言のように、かつてベンゲルは『若手の教育には勝ち点を支払わなければならない。もし20歳のCBをメンバーに選べば、それによっていくつか勝ち点を落とすこともあるかもしれないし、私がその責任を負わなくてはならない。より将来性のない28歳の選手を起用すれば落とす勝ち点は減るかもしれないが、その20歳の選手が23や24になるころには立派な選手に成長しているはずだ』と語ったが、今のアーセナルは歴史的な分岐点を迎えている。
CL出場権なしは5年連続で、2年連続でプレミアリーグは8位、EL出場権すらない。
サッカー界での地位は低下しつつあり、レスターやウエストハム、アストンヴィラといったチームが長期的に見てもアーセナルを追い越そうと脅かしている。
クラブは今季をなんとか良いものにしなくてはならず、現状のプレミアリーグの難しさを考えると、勝ち点を1だろうと余計に落としている余裕はない。
これがサリバに関してアーセナルを難しい立場に追い込んだ。彼には成長のために出場機会が必要だが、それをプレミアリーグで行うと、アーセナルは勝ち点という対価を支払う必要があるかもしれない。ベンゲルが語った通り。
例えば、サリバと同世代でチームメイトだったフォファナはレスターで即座にスタメンに組み込まれたが、昨季レスターは50失点している。サリバがアーセナルでプレイしていても、守備がより不安定になっていたかもしれない。
では、それ以外でクラブにサリバに出場機会を保障する方法は何があるだろうか?
当然ローンだ。サリバをプレミアリーグで起用することに伴うリスクを受け入れるのではなくアーセナルは違うクラブで経験を積ませることを選択した。
直近の数年間でサリバは同世代のDFと比べてかなり多い出場分数を得ている。
これにより、彼は将来偉大なDFとなるための経験を積むことが出来る。ただ、経験を積むというのはミスも冒すということだ。アーセナルには現状ミスを受け入れる余裕がなかった。
クラブは欧州コンペティション出場権を取り戻さなくてはならず、そのための課題は山積みだったからだ。
サリバに用意されたプラン
シンプルに言えば、アーセナルがプレミアリーグやヨーロッパの舞台でも安心して頼れるようなDFにサリバが成長するだけの経験・出場機会を彼に与えるることだろう。
サリバのローン先でのプレイはモニタリングされているはずで、今季開始の時点では明らかに、アルテタは基準に達していないと考えていたようだが、1年のローン後にクラブは決断を下すはずだ。
わざわざ陰謀論的な考えに走らずとも、最も当たり前の説明が事実であるということはよくあることだ、
もしかすると単に、他国のリーグで輝いた若手に移籍金を支払いすぎ、プレミアリーグでプレイする基準にはその選手が達していなかったということなのかもしれない。
もしかすると、単に現時点でもサリバはアーセナルのトップチームに食い込めるだけの実力がないということなのかもしれない。
そして、それは何ら問題ではない。プレミアリーグは世界最高峰のリーグで、サリバの年齢でプレミアリーグで成功を収めることを期待するのが無茶な話だ。
報道によると、アーセナルは夏にサリバに契約延長オファーするか、すなわちファーストチームでプレイする準備が整っているか、ということだろう、に関しての決断を下すそうだ。
ニース、サンテティエンヌ時代と同じく今季もサリバはフランスでその活躍話題をさらっているが、もしそれでも彼が準備を整っていないということであれば、クラブは売却を決断するだろう。
そもそも、クラブが契約延長を打診しても、サリバがそれを望まない可能性もある。むしろフランスでのプレイを好むかもしれない。
どちらにせよ、アーセナルがサリバに関して下した決断は誤っていたとは思えない。クラブにのしかかる重圧を考えると、その責任を10代の選手に背負わせるのは難しく、100%確信が持てるまでは起用できなかったのだろう。
もし、噂される通り、サリバが歴代の名手と並ぶような選手であれば、いずれホワイトかガブリエルからそのポジションを奪い取るに違いない。
だが、今のアーセナルで彼にスポットライトを当てるのは最良の策とは言えず、サリバがそれを実力でつかみ取るのをクラブは待っているのだろう。
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