トーマス・パーティのアルテタにとっての戦術面での重要性 後編
前編はこちら:
パーティがもたらす戦術面での柔軟性
パーティが備えた能力のおかげで、ある程度アルテタは自由にフォーメーションを調整することが可能になる。
彼は基本的には攻撃時に2-3-5のような形で5人が5つのチャンネルに位置する形を好むが、パーティのようにダイナミックで力強く、戻りのスピードも速い相手のトランジションをスローダウンさせることが出来る選手が居れば、6人目の選手を攻撃に送り込むのが可能となるのだ。
例えばウエストハム戦で、パーティが1人で中盤の底を務めるケースが見られた。
3-1-6のような布陣は、特に5バックで挑んでくるような相手に対しては数的優位を作れるのでメリットがある。
ブラマルレーンでアーセナルが3-0で勝利を収めた際には、これは効果を発揮し、パーティが中盤を制圧して、シェフィールド・ユナイテッドの5-4-1のローブロックを攻略することが出来た。
まとめ
パーティに溢れんばかりのクオリティが備わっているのは間違いないが、いくつか改善しなくてはならない点もある。現時点ではほんの少しだけボールを持ちすぎる傾向があるのと、危険なエリアでボールロストしてしまうことがある。
もともと彼はハイリスク・ハイリターン型の選手ではあるのだが、それでも時々は必要があればシンプルなパスなども選択するべきだ。
今のアーセナルの課題は、パーティにとって最適な相方となれるMFを探すことだろう。パーティは1人でアンカーとしてプレイできなくはないが、このポジションでは彼の攻撃への貢献は大きく制限されてしまう。
それよりもむしろ彼が最も輝くのはダブルボランチの右側で、より自由を与えらえた時だ。
ペアを組むにあたってどのような選手を相応しいかはアルテタ次第だろう。よりダイナミックなオプションであれば、ビスマは良い候補に思える。彼はグレアム・ポッターの流れるようなシステムの中でバックラインを守る役割をこなしており、ボールを前に進めつつも、カウンターを食らった際にCBを守っていた。
だがより最近は、もう少し前でビスマはプレイすることも増え、これにも問題なく適応していた。彼のポジション面での柔軟性を示していると言えるだろう。
パーティとビスマにコンビを組ませれば、アーセナルが相手にプレッシャーをかけ続けることが出来る時間は長くなるはずだ。彼らは二人ともピッチの高い位置でボールを奪うことが出来る、攻撃の最終局面で2-2-6の形に移行することも考慮できる。
これはジウベウトとヴィエラが居たおかげで安心してローレンとコールが前線に上がっていったインビンシブルズ時代を彷彿とさせる。
ただし、ジャカの退団が濃厚なため、もしかするとアルテタはよりジャカに似たタイプのオプションを選択するかもしれない。ロカテッリのような選手だろうか。ビルドアップへの貢献が大きく、左に落ちてティアニーを前にあげることが出来るような選手だ。
イタリア代表とサッスオーロで似た役割を果たしているため、彼はジャカの代役が十分務まるだろう。
だがロカテッリはユーロでも印象的な活躍を見せているし、獲得は容易ではないはずだ。また、イタリアとイングランドの環境はかなり異なるため、プレミアリーグにどれだけ素早く適応できるかという問題もある。
移籍市場の動きは加速しつつあり、ガナーズが中盤の補強に誰を連れてくるのか、非常に興味深い。
(今回の記事でのスタッツは全てFBrefによるものだ)
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