ビジャレアル戦振り返り+アルテタに関して by arseblog
この試合は、インスピレーションを欠き、単調で、少しばかりの不運のミックス、というまさに今期のアーセナルを象徴するような試合だった。
ポストの幅に不満を言うことも出来るが、単にアーセナルが至らなかったのだ。我々は十分な数のチャンスを作れず、ヨーロッパの準決勝に相応しいようなテンションで試合に臨めなかった。
だから我々は敗退したのだ。
ウナイ・エメリとビジャレアルの決勝戦での幸運を祈るが、我々はこれから検死解剖を始めなくてはならない。
確かに、ジャカの怪我は痛手だったが、彼は左サイドバックで先発する予定で、代わりに先発したのがティアニーだったことを考えるとこれは言い訳にはできないだろう。
だが、アーセナルのゲームプランが本来のポジションではない左サイドバックでプレイするMF1人の離脱で崩壊してしまうようなものならば、そもそもそれは良いゲームプランだとは言えない。
我々は前掛に、この試合で良いスタートを切る必要があったが、それは出来なかった。緊張か恐れか、原因はわからないが、我々は45分を無駄にしてしまった。
オーバメヤンは前半のタッチ数はたったの7で、唯一のシュートはコーナーからで、アーセナルがオープンプレイでチャンスを作り出したわけではなかった。
後半はもう少し意図が見え、ティアニーがペペへのチャンスを作り出したし、スミスロウのシュートも惜しかった。
だが、思い返すと憂鬱になるのは、相手のキーパーはかなり怪しい場面が目立っていたという点だ。それにもかかわらず、アーセナルは2試合で枠内シュートを4本しか打てず、彼を試すことが出来なかった。
マルティネッリが登場したが、試合を変えることは出来ず、ベジェリンも少し良い時間があったが、オーバメヤンのヘディングはポストに阻まれた。
そして、アーセナルが最後にすがったのがウィリアンとラカゼットだったというのは心臓が沈むようだった。
今季1得点も決めていない選手と、ハムストリングの怪我から復帰を急かされた選手。オーバがマラリアの影響に苦しんでいるのは知っているが、それでもこの試合で得点の可能性があるとすれば彼一人だけに見えたが、彼はベンチに下がった。
そして、不可避の結末が訪れた。
この試合がファンにとって、チームにとって、監督にとって、そしてクラブ全体にとってどれほど重要なものかわかっていたはずだが、それに値するようなパフォーマンスを見せられなかった。
非常におとなしいパフォーマンスで、大げさに言えば、プレシーズンでももっとインテンシティのある試合があったのではないかと感じられるはずだった。
500語程度でこの試合のハイライトを語れてしまう、という事実が如実にこの試合を表している。
何人かの若手は少々可哀そうですらあった。
この日、大舞台に相応しい勇敢さを見せたのはスミスロウたった一人だった。彼が試合終了の笛ともにピッチに倒れこんだとき、同情せずにいるのは難しかった。
ブカヨ・サカは今季一人でチームを何度も引っ張り上げたが、この試合ではベストな調子ではなかった。より経験があるはずのウーデゴール、ペペ、パーティといった選手たちは大舞台で彼を助けてはくれなかった。
そして、ここからは全ての注目がアルテタに集まるだろう。もちろん公平に言えば彼は試合後非常に落胆してみえたし、アルテタがやる気がない、クラブのことを気にかけていない、とは思っていない。
彼はアーセナルの問題点が見えているだろうし、心の底からアーセナルが好成績を残すことを望んでいるはずだ。
だが、それは今季アルテタが成し遂げたとは言えない。
チームは13敗を喫して注意に沈み、ヨーロッパでは準決勝で前任者相手に、2試合連続で単調なパフォーマンスで敗退した。
今季のホームで10試合無得点というのはアーセナル史上最悪の記録で、残り4試合で奇跡が起きない限り来季の欧州コンペティション参加はない。
我々は得点が出来ず、チャンスが作れず、試合に勝てない。さらに問題なのは、そのパフォーマンスが、これを続けていけばいずれ上手くいく、と思わせるようなものではないことだ。
我々は退屈で、インスピレーションを欠き、非常に窮屈そうだ。
私の意見では、これは準備不足や練習場でのハードワークが足りないからではない。むしろ、指示が厳格すぎて思ったようなプレイが出来ず、リスクを冒す勇気が出ず、バックパスが選手たちの中で最良のオプションになってしまっているのだ。
もちろん、今の選手たちが単純にアーセナルの望むレベルにない、という意見があるのは知っているし、それに異論はない。
今のアーセナルで、もし移籍したとして、私が悲しく思うのはほんの数人だけだ。だがそれでも、今の選手たちの限界が今季の成績だとは思えない。これは監督の責任だ。個人・チームレベルでアルテタが彼らの力をうまく引き出せてはいない。
彼の選択には理解するのが難しいものがいくつかある。
確かにパブロ・マリは悪くはなかったと思ったが、我々は夏に30mを叩いてガブリエルを獲得したのだ。にもかかわらず、表に出ていない事情があるのでなければ、アルテタはこのようなビッグゲームで彼を信頼しておらず、代わりにジャーニーマンを起用した。
これはアーセナルの選手獲得のまずさを表しているといってもいい。だが、ガブリエルの獲得はアルテタとエドゥに責任がある。
ウィリアンに関しても同様だ。もちろん、ビジャレアル戦で彼が何かしたというわけではないが、ウィリアンこそアーセナルのクラブの意思決定のまずさを象徴している。今季を通して酷いものだった選手に巨額のリソースを投入し、しかも私には全く分からない理由で彼の残念なパフォーマンスはずっと我慢され続けた。
この試合はアルテタにとって悪い夜だった。この2試合においてそれがいる。ファーストレグのアプローチを失敗し、それを挽回するのに必要なレベルのパフォーマンスをセカンドレグで引き出せなかった。
来季欧州コンペティション出場なしというのはピッチ内外でアーセナルに非常に大きな影響を与えるだろう。既にマッチデー収入と放映権料減少で減っている収益がさらに減るのはいうまでもなく、それ以外の点でも選手獲得への影響は避けられない。
我々は、欧州コンペティションに出場できなくても、選手たちが魅力的だと感じ移籍してくれるようなクラブだろうか?私にはわからない。
これに加えて、現在アーセナルはパンデミックの最中に選手の給与をカットし、55人のスタッフを解雇し、我々の愛する恐竜を追放するようなオーナーに運営されいている。
ピッチ上での失敗がサッカー面でのスタッフの雇用に影響する可能性は高いが、収益の減少により、他のスタッフにも及んでしまうのではないかと心配だ。
さて、今後アーセナルがどうなるのかは誰にも分らない。1月には負債の借り換えから、アルテタが放出を望む選手の給与を先に払ってしまう、という形でオーナーはアルテタへの信頼を示した。
もちろんこれ自体には賛成だ。彼らはどちらにしろチームを出ていく必要があったし、オーナーはアルテタの判断を信頼したというわけだ。
夏の移籍市場が近づいてきており、チームに投資の必要があるのは明らかだが、再びアルテタに資金を預けることができるだろうか?
もし監督への疑念があるものの、もう少し時間を与えるつもりがあるとして、だがもしチーム状況が悪化すれば解雇に踏み切らなくてはならない状況で、現監督に巨額の資金の使い道を決めさせるのは賢いと言えるだろうか?そもそもどれくらい資金の余裕があるのだろう?
だがそこで問題なのは、このようなことを考えられるのが上層部に誰かいるのか、という点だ。
クラブの長期的なプランを設計できるようなサッカー面の知識を持った人物はどこにいるのだ?
1人の人物が全てを運営していく体制をやめるかに思えたが、結局またすべての権力をアルテタに集め、彼の役職もManagerに変更した。
どちらかというとテクニカルディレクターですらも、彼の下につくような形だが、本来それは逆であるべきではないのか?
このせいで、今再びアーセナルは、長期的にクラブにいるか保証できない人物がクラブのサッカー面の全てを統括する、という事態に陥ってしまった。
一つだけ明確にしておこう。私はアルテタは素晴らしい人間だと思う。彼のコミュニケーション力は素晴らしい、再建の必要性をオープンに認めたのにも感銘を受けた。
彼自身のために、そしてクラブのためにアルテタが成功を収めてくれることを心の底から願っていた。
だが、今季のプレミアリーグの成績、そして無気力と言ってもいいパフォーマンスでヨーロッパリーグ準決勝でアーセナルが18か月前にクビにした監督に敗れ敗退、というのを見るに、もしここで解任となってもアルテタは文句は言えないだろう。
アーセナル以外のトップレベルのクラブでこのようなシーズンを終えて監督を解任しないクラブなどいるだろうか
だが、アーセナルはただのサッカークラブではない。我々は毎年アーセナルの立場が下がっていくのを指をくわえて見ていることしかできない人物たちによって運営されているのだ。
彼らが全く気にかけていない、というわけではないだろう。KSEにはビジネスマンが集まっており、スポーツ面での成績とクラブの市場価値に相関関係があるのはわかっているはずだ。
だが、単に彼らは能力がなく、クラブの将来を左右するような場面での決断は酷いものだ。
今後アルテタはアーセナルを去るかもしれないし、残るかもしれないが、それでもトップの問題は残り続ける。
私の直感では、恐らく、KSEはアルテタを解任しないだろう。他にどうすればよいのかわからないからだ。彼らはここから引き返すには既にアルテタを信頼しすぎている。
もちろん他にも良い監督は多くいて、サッカー界で絶対に代えが効かない人材というのはいない。だが、OBの帰還というのはロマンティックなアイディアだが、今のアーセナルでアルテタが機能していないことは認めなくてはならない。
もちろん、非常に優し目の見方をすれば、今季の時点では機能していない、ということだ。
だが、ここで問いかけるべきは、来季こそは上手くいくだろう、という徴を我々は何か目にしただろうか?ということだ。
もちろん、今季は色々な点で環境が普段と異なるのは承知の上だが、エメリの成績はこれより良かったが解雇された。
もちろんコロナ禍に加え、フロントのごたごたや過去の体制の負の遺産など、アルテタが対処しなくてはならない問題は多くあったが、クラブが彼と契約を結んだ時点での想定は、アルテタがこれらの負の遺産を整理しながら、ピッチ上でのある程度の成績はキープしてくれる、というものだったはずだ。
確かにアルテタは前者はそれなりに達成してくれたかもしれないが、後者は全く満足のいくレベルだとは言えない。
今日に関してはこの辺りにしておこう。今後アーセナルに何が起こるかは不透明だが、まだプレミアリーグは4試合残っている。今のアーセナルで楽観的になれる唯一のポイントは、将来性のある若手がいるという点で、出来るだけ彼らのプレイが見たいとは思うが、今季の残りはいつも通りの老いた顔ぶれになるのではないか、と恐れている。
同じ選手、同じ監督を起用し続けるのであれば、同じ落胆が訪れるのも当たり前だろう。
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ディスカッション
コメント一覧
アルテタは負の遺産を整理した、のだろうか?
むしろ、素晴らしい遺産を不良債権化し、更に不良債権を生み出し、獲得し、積み上げたように見える。
勿論、サカやロウ、マガリャンイスやティアニーは素晴らしい財産だが、マガリャンイスを除くと、アルテタが獲得した選手ではない。
結果を見ても、プロセスを見ても、私情を入れずに見るほどに、アルテタには十分な能力は無いように見える。
むしろ、どこを評価できるのだろうか。
一時期どん底のアーセナルを引き上げた喜びは確かにあったけども、それは完全に裏切られた。
あの半年の喜びで、この一年に目をつぶるのだとしたら、それはサッカーの評価としては異例だろう。
偏愛と言うべきか。