スーパーリーグの崩壊とクロエンケが焼け野原にした北ロンドン 前編
スーパーリーグ構想の一部ではないクラブのファンたちは、この数時間を爆笑して過ごしたことだろう。
勘違いしないでほしい、もちろん私はこの構想が崩壊したことを本当に嬉しく思っているし、このような状況をもたらした裏にいる人々に対しては軽蔑の年しか抱いていない。だが、このような事態に愛するクラブが陥るのを見るのは悲しさと同時にある種の可笑しさすらある。
このスーパーリーグという構想は酷すぎて、なんとアマゾンやボリス・ジョンソンが善人に見えてしまうほどだったのだ。
昨夜、チェルシーがスーパーリーグを抜けようとしている、という報道が出た所からすべてが始まった。そしてマンチェスター・シティが続き、この時点で完全に流れは決まった。結局どんどんとクラブが離脱することになった。
だが、アーセナルにとってはお決まりになりつつあるが、このような事態の中、オーナーは一言も発さず、CEOも、そして選手たちもこの間まったく口を開かなかった。
このベールから頭を突き出して発言したのはヘクター・ベジェリンだけだった。彼の今季のパフォーマンスについては色々と意見がある人もいるだろうが、少なくとも、彼は他の者たちが誰も出来ない状況で、この沈黙を破る勇気があった。
— Héctor Bellerín (@HectorBellerin) April 20, 2021
そしてその後、クラブが公式に声明と謝罪を発表した。
この数日間、またしても世界中のサポーターがこの偉大なるクラブとサッカーというスポーツへの愛をが示されました。
もちろんこれを忘れたことなどはないのですが、この何日かのサポーターの反応は我々に深く考え自省する時間を与えてくれました。
皆様の意見とサッカー界全体のコミュニティの声を聴いた結果、我々はスーパーリーグ構想から離脱します。我々は過ちを犯しました。謝罪します。
もちろん、この文章をどれだけ文面通りにとらえるかは人々の自由だ。例えばリバプールの声明と比べれば、少なくとも謝罪の言葉は含まれている。
だが、アーセナルの声明の途中には以下のような文が含まれている。
我々はファンの皆さんにこのような苦悩を引き起こすつもりはりませんでした。しかし、スーパーリーグへの招待が届いたとき、アーセナルとその将来を守るため、置いていかれるわけにいかないと考えたのです。
一つだけ明確にさせてください。スーパーリーグ加入という決断はアーセナルを守るためのものでした。あなたのが愛するクラブ、愛するスポーツをより強い一体感と金銭的安定性を通して守るためのものだったのです。
だが、アーセナルのオーナーがアーセナルを守るため、サッカーを守るためにこの構想への参加を決めたと思う人が誰か一人でもいたとしたら、悲しいがそれは勘違いだ。常に彼は金のことを考えていたのだ。
アーセナルはやんちゃな先輩にスーパーリーグに誘われた無垢な少年などではない。クロエンケはスーパーリーグ構想を主導した勢力の一部だったのだから、上の声明が嘘であることは間違いない。
だが、もしこの部分が偽りを述べているのだとすれば、声明の残りの部分をどう受け取るかはあなた次第だ。
だが、一部で謝罪し、もう一方で嘘をつくような言葉を真剣に受け取るのは難しい。
オーナー達(アーセナルだけではない、12クラブのオーナー全員だ)はこのような計画が、本当にサッカーというスポーツを愛しているファンからのどのような反応を招くか重々承知だったはずだ。
彼らはこれに対して所属クラブの監督や選手の意見を聞くことすらしなかった。何故か?
それは、意見を聞けば彼らは反対することがわかっていたからだ。
本当にサッカーというスポーツを愛するファンが、どのような反応を見せるかなど承知していたはずだ。
構想自体は長い間存在していたはずだが、この公式発表がとんでもない速度で行われたのには理由があるはずだ。
これは、サッカーをより良くするためによく練られた提案ではなく、ギネス記録級のスピードで行われたクーデターだったのだ。これを我々皆の最善を思ってのことだった、などという事はファンを愚か者扱いしているのと同じだ。
そして、アーセナルの声明の最後に記載された声明の発表者ですら『取締役会』となっていた。
何たる臆病者なのだろう。これがスタン・クロエンケ、そしてジョシュ・クロエンケの考えだったことは間違いない。KSEの仕業だ。
『取締役会』と書くとまるでアーセナルに関連する人々が投票の上で決定したように聞こえるが、全くのナンセンスだ。
報道によると、ユナイテッドではウッドワードが退任するらしい。イヴァン・ガジディスもACミランを去るという話も出ている(ハハハ!!)
アーセナルも誰かが何らかの責任を取らなくてはならないことだろう。恐らく昨日は一晩中スタンはCEOのヴィナイにその役を任せようと計画を練ったに違いない。
もちろん、ヴィナイにもあまり同情の余地はないが、この6週間の間にアーセナルのオーナーはヴィナイをECAに参加させ、すぐに辞任させ、そしてこの期間中沈黙を貫くことを命じたのだ。
彼らは臆病者だ。
もちろん、これが驚きだったというわけではない。彼らはスーパーリーグ参加発表の声明で自分の言葉を非所でも発する度胸もなかったのだ。離脱の発表に関して何が変わることが期待できるわけでもない。
いつも彼らはこの『取締役会』という言葉の後ろに隠れている。
だが、一つ明確にしたい。スタンとジョシュ、ファンは知っている。アーセナルというサッカークラブに損害を与えているのが誰なのか我々は知っている。
彼らはアーセナルのフロントを全員処罰し解雇することも出来るかもしれないが、それでも我々は本当はこれが誰のせいなのかわかっている。
どれだけ隠れようとしても、ファンは責めるべきは誰なのかをわかっている。
(後編に続きます)
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ディスカッション
コメント一覧
支持したことに対するお詫びを。それとベジェリンに対する敬意を。
申し訳ありません。
この動きを特段肯定するつもりはないですけども、アメフトやメジャーリーグ、日本プロ野球は特に降格も昇格もないですが、スポーツとしての健全性が無いとは思えません。
フットボールの歴史として、今回の閉じられた競争環境が受け入れ難いと言うのは理解できますが、開かれた競争環境でないとスポーツとしての健全性が無いと断言するのは、それはそれで他のスポーツへのリスペクトを欠いてる、それこそフットボールと言うスポーツの傲慢のようには映ります。
用いる理屈を誤れば、結論は正当な主張でも価値を損なうように、私には見えます。
ファンあってのプロスポーツなので、ファンの支持なしで向かう先に未来はないので、この結果もアーセナルの方針転換も賛成ですが、同時にフットボールの抱える固定観念のリスクも見えたように思いました。