マルティネッリ: アーセナルの次世代のストライカー
2019年の夏の移籍市場で、アーセナルが真っ先に獲得を発表した選手がガブリエル・マルティネッリだった。ブラジル4部のイトゥアーノからの移籍で、6m£程度の移籍金だったといわれている。
国籍とブラジル代表チームとのつながりで、マルティネッリを見つけ出したのはエドゥだというのはよく見られる誤解だが、実際には当時のインターナショナルスカウト長のフランシス・カジガオが何か月ものスカウティングを行い、アーセナルに推薦した結果実現した獲得だった。
マルティネッリのアーセナルでの1年目
彼は100年に1人のタレントだよ。信じられないようなストライカーだ。
2019年にカラバオ杯での5-5での試合後に、ユルゲン・クロップはこの試合で2得点したマルティネッリへの賛辞を惜しまなかった。
確かに比較的若手が多いリバプール相手ではあったが、マルティネッリ自身もそれをいうならまだこの時18歳で、ブラジル4部からイングランドにやってきたばかりの若者だった。
マルティネッリはカップ戦での大活躍を経て、すぐにプレミアリーグでもプレイし始める。アーセナルは6試合リーグでの勝利なしという惨憺たる状況で、暫定監督だったユングベリが彼をウエストハム戦でリーグ初先発させたのだ。
この試合のハーフタイムでアーセナルは1-0とリードを許しており、残念なパフォーマンスだったが、ここで立ち上がったのがマルティネッリだった。マルティネッリの得点でアーセナルは息を吹き返し、最終的に3-1で勝利を収めたのだった。
そして、その後スタンフォードブリッジでチェルシーと戦った際にまたしても1点ビハインド、それどころか数的不利の状態で、コーナーから直接ゴール前まで運び、クールにケパを破って見せたのもマルティネッリだった。
ビッグ6相手のアウェイ戦(この時はまだ観客がいた)、一人退場者を出している状態で、18歳の選手がチームを立ち直らせたのだ。これは尋常なことではない。
マルティネッリがただの有望な若手とは違うということが示された瞬間だった。
コロナによる中断前の時点でマルティネッリは1463分プレイして10ゴール4アシストと105分ごとに1点に絡んでおり、これは年齢に関係なく凄まじい数字だ。
また、ロナウジーニョもマルティネッリ自信満々の態度を評して、かつてのロナウドを思い起こさせるとコメントしていた。
得点に絡む貢献もさることながら、マルティネッリがアーセナルファンから愛されていたのはその献身性も大きな理由だろう。
だが、最終的にマルティネッリのアーセナルでのファーストシーズンは膝の怪我により終わりを告げ、これはアーセナルとアルテタにとって大きな打撃だった。
怪我からの復帰
アーセナルは昨季末にFA杯こそ優勝したものの、今季の前半は全くうまく行かず、特に11-12月にかけて絶不調に陥っており、またしても6戦勝ちなしという事態となっていた。
まだ怪我からの復帰途中で本調子からは遠かったはずだが、マルティネッリが今季初先発を果たしたのはカラバオ杯のマンチェスター・シティ戦で即座にラカゼットへのアシストを記録するなど素晴らしい前半を送った。
しかし、また怪我により交代することとなった。
そしてその後、アーセナルのシーズンを変えたといってもいいチェルシー戦を迎えることになる。マルティネッリはゴールやアシストを記録したわけではなかったが、彼がチームに与えた影響は明らかだった。
彼はボールを持てば常に脅威となりリース・ジェームズを苦しめ、プレスに走る際はとんでもないエネルギーを披露した。
この試合アーセナルは3-1で勝利し、怪我から復帰してすぐにマルティネッリはインパクトを残した。
二度連続で6試合勝利なしの状態だったアーセナルで7戦目に先発するとチームを勝利に導いたことになる。私はこれが偶然だとは思えない。これらの不調の時期にアーセナルは下を向き、恐れを抱いてプレイしていたように見えた。これが全体的なプレスなどのパフォーマンスに影響を与えていたように思う。
だが、マルティネッリはこのようなことに影響を受けたりしない。どんな場合も彼のプレイは変わらないのだ。これこそマルティネッリのもっともユニークな特質の一つである。
アルテタによるマルティネッリのマネージメント
アルテタがアーセナルの監督に就任して以降、もちろん全く試合出場がないわけではないが、監督からはマルティネッリをあまりプレイさせすぎないように、という姿勢が見て取れる。
ファンの中にはこれを見て『アルテタはマルティネッリを評価していない』と見る向きもあるようだが、それは事実ではないだろう。
アルテタはマルティネッリが復帰して即座に、少し無理に焦らせるような形で3戦連続で出場させたのだから。この時はチームは何より結果を必要としていた時期で、ここでアルテタはマルティネッリに頼ったのだ。
その後流石に休まされたが、不運なことにこの後ニューカッスル戦のウォームアップ中にけがをしてしまい、それ以降マルティネッリは出場機会が減少した。
だがアルテタはマルティネッリは少しずつ慣れさせていく必要があると、忍耐強さを求めるコメントを出している。
マルティネッリは将来的にチームに多くのものを与えてくれる選手だが、彼が全力を発揮するのに正しい試合、正しいタイミング、そして正しいピッチ上でのチームメイトを見つけるのには少し時間が必要だ。
とはいえ、彼の性格と毎日の練習の様子を見れば、彼が我々にとって重要な選手になることに疑いの余地はないよ。
マルティネッリの将来的なポジションは?
アルテタのもとでは、マルティネッリは左のFWとして使われることが多かったが、昨年将来的にはマルティネッリは中央でプレイするだろう、とコメントした。
最近はアルテタはマルティネッリと個人練習を行っている様子が見られており、これは彼をセンターフォワードにコンバートする試みの一環なのではないかと考えられている。
私が思うに、これこそマルティネッリに最適なポジションだ。マルティネッリのボックス内の動きには天性のものがあり、BTスポーツではロビン・ファン・ペルシーですら彼を称賛していた。
彼はとても技術があるね。とてもよく見えるのにまだ18歳だし、見ていて楽しい。彼の動きは常に探しているね。僕もこの年の頃はウイングとしてプレイしていた。時間が経てば彼はさらに良くなるよ。
もちろん、普段であればRVPが言うことなど気にかけないのだが、彼はこのポジションで素晴らしい選手だったし、実際にウイングから中央にポジションを移した選手の言葉には説得力がある。
同時にマルティネッリはプレスへの適正も非常に高く、彼のボール奪取力も異次元のレベルだ。彼はプレスを率いるのに最高の選手となるだろう。ルイス・スアレスをイメージできるかもしれない。
マルティネッリの最大の成功は中央でプレイしているときに訪れている。不運なことに、彼はここまでのところまだプレミアリーグではそこでプレイするチャンスがないが、ベンフィカ戦でアルテタはマルティネッリをストライカーとして途中出場させており、これは将来的にマルティネッリがプレミアリーグでもトップとしてプレイするだろうということを意味するのではないだろうか。
マルティネッリにチャンスは必ず訪れる
今季末の時点で、ラカゼット、エンケティア、バロガンの全員が退団する可能性がある。仮にこのうちの一人が残留したとしても、マルティネッリにチャンスは訪れるだろう。
マルティネッリは昨年FourFourTwoのインタビューで以下のようにコメントしていた。
僕はアーセナルでチャンピオンズリーグと多くの国内タイトルを獲得してアーセナルファンを幸せにしたい。彼らはそれに値する存在だよ。サポーターだけではなくて、クラブのスタッフ全員がね。僕は彼らみんなが僕にしてくれたことに対して恩返しがしたいんだ。そして、結果的にはアーセナルのレジェンドになりたいね。
ここまでのマルティネッリを見るに、一度チャンスが訪れれば彼はその機会を両手でがっちりとつかむことだろう。
彼はアーセナルのレジェンドになるためのすべてを備えており、私は彼の今後に非常に期待している。忍耐強く待てば、必ずマルティネッリは結果を残すだろう。
source:
ディスカッション
コメント一覧
膨大なシチュエーションが連続したフットボールを完全にコントロールすることは不可能
だったらガビみたいなプレーヤーは約束事は最小限に、あまりカタにはめ過ぎず直感でプレーさせたほうがいいんじゃないすかね