ニコラ・ペペにチャンスを与えなくてはならない
ペペのインタビューとフラストレーション
先日ニコラ・ペペがCanal+でインタビューに答え、今季のアーセナルでの自身が置かれた状況に対するフラストレーションについて語った。
今季ペペは新加入のウィリアンの下に序列を落とし、ヨーロッパリーグで二戦連続で得点を挙げたにもかかわらず、アルテタに定期的な出場機会に自身が値すると納得させることが出来ていない。
サッカー選手はサッカーをしてこそ幸せになれる。僕もまたスマイルを取り戻せるようにもう少しプレイしたいね。
アルテタは90分間僕は集中しなくてはならないという。だけど、その次の試合では僕はベンチだ。もちろん監督は僕とコミュニケーションをとってくれるし、コーチたちともよく話をする。でも、どんな選手にとってもベンチに座るというのはフラストレーションがたまるものだよ。
私としてははこれはいくつかのメディアで報じられているように、ペペが公の場でアルテタを攻撃したような発言だとまでは思わない。
とはいえ、ペペがフラストレーションを溜めているのは間違いなく、行間を読むに、彼とアルテタとの関係性が我々が理想的だと思うようなものではないのも事実だろう。だがお互いコミュニケーションは獲りあっているようで、それはポジティブだといえる。
そしてペペはこの後
スーパーサブ?もちろん役割を決めるのは監督だ。だけど、僕はスーパーサブでないと証明できるかは僕次第だね。
と続けている。
リールからアーセナルにやってきて以降、ペペがコンスタントなパフォーマンスを見せられていないのは事実ではあるにせよ、彼のフラストレーションは大いに理解できる。
まずいったん、彼自身のコントロールの及ぶものではない、史上最高額の移籍金という値札をいったん脇に置いておくとしよう。既にこの取引を巡っては多くの注目が寄せられ、その他の取引の疑問もあわせて責任を追っていた人物は既にクラブを去っていることでもある。
もちろんこれはクラブ選手双方にとっての重荷ではあるが、どこかのタイミングでペペのピッチ内でのプレーの評価に目を移さなくてはならない。
悪くなかったペペのファーストシーズン
色々なところで書かれていることではあるが、数多くの要因を鑑みて、ペペのアーセナルでの1シーズン目は悪くはなかった。
最高でもなければ最低でもない。全コンペティションで8ゴール10アシストという数字は合計でオーバメヤンに次いでチーム2位だ。
シーズン後半にかけて調子を上げていたように見えた。アルテタの要求をより理解しているようだったし、FA杯決勝でのパフォーマンスは、新たなシーズンに向けて非常に期待が持てるものだった。
ウィリアンの獲得
だがその結果アーセナルはどうしたか?
同じポジションでプレイする32歳の選手をなんと3年契約で新たに獲得した。
獲得前はウィリアンはアーセナルの攻撃に創造性をもたらすために中盤でプレイするのではないか、と囁かれたが、蓋を開けてみれば、今季は彼は基本的に右サイドでプレイしている。例外はフラム戦だが、この試合でウィリアンのパフォーマンスは平均的と最悪の間のどこか辺りだった。
アーセナルがウィリアン獲得を発表した時点では、何故チームがウィリアンのようん選手を獲得したかの理屈は理解できなくはなかった。
3年契約は愚かだとは思ったものの、経験豊富で、プレミアリーグのプレイになれており、即戦力となれる選手と見込まれていたからだ。
だが、新加入選手というのは極限まで楽観的なレンズを通してみられるもので、今季ここまでの時点では(もちろん、ウィリアンが今後良くなる可能性があるというのは認める。というか、そうでなくては困るが。)、3年どころか3か月契約で良かったのではないか、と思える。
ペペへの悪影響
ウィリアンの起用を続けることの第二の問題点は、ペペにネガティブな影響を与えている、ということだ。
他の選手との競争事態が悪いといっているわけではない。それはキャリアを通してペペだけではなくサッカー選手であれば誰しもが対処しなくてはならないことだ。
だが、それが機能するのは、実際に公正な競争が存在しているときだけだ。もしウィリアンがこのようなプレイを毎週続けながらそれでもスタメンに名を連ね続けるのだとすれば、それは最早競争ではなく依怙贔屓だ。
ペペは自分のスタイルを改善し、アルテタに言われた通りハードワークをこなし始めた。その結果ポジションを失うのであれば、自信喪失してしまうだろう。
もちろんここからもう一度ポジションをかけて戦えるかどうかはペペ次第なのかもしれないが、努力の見返りがベンチ降格では、ペペの士気に大きく影響があるに違いない。
唯一希望があるとすれば、アルテタがウィリアンに求めるものを手に出来ていない、という点だろう。パフォーマンスはあまりよくないし、態度や献身性という意味でも、私には疑問の余地があるように見える。
アーセナルは素早く攻撃を改善する必要があり、ゴールやアシスト、予測不能性、少しばかりの推進力とバラエティが必要だ。
ペペはそれをもたらせる選手の一人だ。
もちろん彼は完璧ではなく、右サイドで消えてしまうときもあるし、あまりに多くのDFを相手にしすぎてしまうときもある。だが、今季すでに彼は何もない所からゴールを生み出せることを示している。
既にペペは3ゴール2アシストを挙げており、これは合計でオーバメヤンと同じ数字だ。
ウィリアンは2アシストのみで、しかもこれは二つも開幕戦、2か月前に挙げたもので、これはエンケティアやウィロック、ベジェリン、サカ、そして今季低調なラカゼットにすら劣っている。
ペペは相手DFに悪夢を見させるような選手ではないかもしれない。だが、彼らを少し立ち止まって考えこませることは出来る。
ウィリアンは彼らに優しくお休みと声をかけ、ホットココアを用意し、寝る前のお話を読み聞かせ、布団をかけてあげ、90分間の安眠を保証する。
アーセナルの前戦がこのような状況に置かれてしまったのは悲しいが、私はウィリアンが軽率にボールを失うのを見るくらいであれば、ペペが何かを起こそうとしてトライするところを見たいと思う。
ペペが獲得されてきたときに我々が期待したようなスーパースターになれるかはわからないが、ある程度継続して彼を起用しない限り、その結果は決してわからないことだけは確かだ。
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