二コラ・ペペの置かれた状況に関する現実的な考察
多くのファンが、2020/21シーズンこそはニコラ・ペペの本来の姿を目にすることが出来るだろうと信じている。少し期待外れに終わったノースロンドンでの1シーズン目を終え、そろそろ彼が本領を発揮する時間だろう。
リールの会長もペペは適応に少し時間がかかったが、1年後には我々皆が知る選手になったとスカイスポーツにコメントしていていた。同じコメントの中で彼はアーセナルで最高の姿をペペはこれから見せるだろうと予測した。
しかし、リバプール戦前の会見のアルテタのコメントはアーセナルでのペペの状況がそこまで単純ではないことを示唆していた。彼はペペがアーセナルで今後何年にもわたってプレイするだろうと語った一方で"より高いレベルで一貫性を見せる必要性がある"ともコメントした。
アーセナルでの1年目のペペの課題がまさにこれで、我々はペペがもたらせるものを垣間見たが、それを彼はずっと継続することは出来なかった。これは、移籍金額という外部の要因によるプレッシャーが原因かもしれない。
ペペにとっては不運なことに、アルテタのオーバメヤンに対する姿勢は今年もペペにとってはトリッキーなものになるということを意味するかもしれない。
彼は『オーバメヤンを中心にチームを作りたい』と語っており、もし今後もオーバメヤンが左サイドで起用されるのであれば、どうしても攻撃は左サイドにファイナルボールを届けることを中心にデザインされることになるだろう。
オーバメヤンにとって心地よい言葉だが、これはペペにとってはサイレンの音だ。
22ゴール11アシストを挙げたリールでのシーズンでは、ペペはサイドこそ違うものの、オーバメヤンと同じような役割を任された。
もちろん、ここ数年でユルゲン・クロップのリバプールは両サイドにインサイドFWを起用することも可能だということを示しているが、フラム戦の様子を見るに、アルテタの考えは違うかもしれない。
この日ウィリアンが果たした役割から推測するに、アルテタは右サイドの選手によりクリエイティブな素質を求めているのだろう。
彼がアシストを量産したからだけではなく、ウィリアンのポジション的にもそれは見て取れた。
フラム戦でもウエストハム戦でもウィリアンはボランチのような位置までくることもあり、ベジェリンを外に走らせて自分はハーフスペースに入る場面も何度かあった。
これは、ウィリアンの創造性を活かすための工夫だろう。同じ役割をペペが効果的にこなせるとは思えない。ペペのクロスの質やFKは素晴らしいが、選手のタイプ的には彼はクリエイターではないからだ。
フランスでの18/19シーズンを見ればわかる通り、彼はゴールスコアラーなのだ。
したがって、もしかすると、20/21シーズンもペペは自身に最適な役割を任されず、ウィリアンの後塵を拝してしまうかもしれない。
当然理想を言えば、アルテタはこのようなことにならないような方策を講じたいはずだ。
もしアーセナルがアワールとパーティの二人を獲得できれば、4バックを用いることが出来るだけの強度を中盤は手に入れ、リバプールのようなシステムを採用できるかもしれない。
ジャカとパーティがバックライン前の守備を担当し、ティアニーとベジェリンの両者が前に上がっていけるかもしれない。
ここまでティアニーはユニークな左CBとして素晴らしいパフォーマンスを見せているが、これにより彼の攻撃性能が少し失われるのは事実だ。
あまり継続してみることは出来なかったが、ティアニーが前線に上がっていった際に、彼のクロス能力が素晴らしいのはわかっている。もしアルテタがティアニーを左サイドの高い位置に送り込むことが出来れば、それと同時にペペの得点能力も開花させられるかもしれない。
昨季FA杯準々決勝のシェフィールド戦でティアニーが左WBでプレイした際には、ペペはここまでで最高と言ってもいいほどのパフォーマンスを見せた。彼らが両サイドで連携することが出来れば、どのような成果をもたらせるかを示しているといえるだろう。
もしアルテタがボールを右から左へと運びオーバメヤンに点を決めさせるだけではなく、逆に左から右へペペへのチャンスを演出も出来るようなシステムを構築できれば、今季彼は輝けるはずだ。
もちろんそのようなシステムを定着させるのは簡単ではなく時間がかかるはずだし、中盤の補強なしでは実現は不可能だ。だが、今季ペペが輝けないと決めつけるのはまだ早い。
今季ここまで彼の出場機会は限られており、ペペは我々が願ったレベルには達していないかもしれない。だが、彼が将来的なスーパースターになれるかもしれないと思わせるだけのプレイも見せたのも事実だ。プレッシャーをかけたくはないが、今季こそペペが爆発するシーズンになると願おうではないか。
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