ラカゼットがイングランドで過去最高のシーズンを送る準備は整った
アレクサンドル・ラカゼットがフランス代表とアーセナル両方で、意見の分かれる選手であることは間違いない。彼の批判者たちは、ラカゼットの北ロンドンでの3年間がパッとしないものだったと考えている。
2017年にアーセナルは50m€以上の額を支払って彼を獲得した。この時点でラカゼットはヨーロッパでも最高のストライカーの一人で、特に法外な値段には思えなかった。
彼のアーセナルでのキャリアはレスター戦の序盤でいきなりゴールという素晴らしい始まり方をした。
しかし、シーズンが進むにつれて得点という意味では一貫性を見せることは出来なかった。膝の怪我を抱えておりこれが障害となっているのではという報道があったが、これは実際に事実で、2018年の2月に手術を行うこととなった。
プレミアリーグを定期的に見ているファンであれば、誰もがラカゼットの高い技術は分かっている。だが最大の懸念はいつも同じだった。ゴールだ。
手術からの復帰後、ラカゼットへの期待は非常に大きかった。怪我を理由にすることはもうできないのだから、それも当然ではある。
しかし、何試合かこなすにつれ、相変わらずラカゼットは得点を量産するということにはならなかった。ベンゲル監督の去就を巡るごたごたと、オーバメヤンがクラブにやってきたこともあり、ラカゼットはクラブのエースストライカーとしての立場を失っていった。
彼は一年間まるまるアウェイでの得点がなかった時期を経験しており、彼のような評判のストライカーにとってこれは受け入れがたいことだ。
もちろん公平な見方をすれば、ラカゼットの調子はこの3年間のアーセナルのチームとしての調子を象徴しているという見方も出来る。良い時期も少しはあったが、高すぎる期待にそれはかき消されてしまった。
とはいえ、リヨン時代のとんでもない決定力を誇っていたラカゼットはどこへ行ってしまったのだろうか?
突然あそこまでのクオリティが失われてしまったというのは考えづらい。アーセナルでラカゼットがかつての得点力を発揮できていないのには何かしらの理由があるはずだ。
まず第一に、クラブ自体の安定性が欠けていることが上げられる。ベンゲルの最終年、エメリ時代、そして、アルテタ体制の始まり。アーセナルは波乱の時期を迎えており、エメリ時代終盤のチーム全体の自信喪失ぶりは皆覚えているはずだ。
もう一つのキーポイントは、エジルの衰えと、それに伴うアーセナルのプレイメイカー不足だろう。
プレイメイカー不在のアーセナルで、ラカゼットはかつてとは異なる役割を果たすことを強いられている。彼のメインの仕事は、リヨン時代のように攻撃の中心となることではなく、中盤と攻撃を繋げることになっている。
これはリバプールのフィルミーノと同じような役割だが、リバプールの前線はフィルミーノ以外に得点王クラスのFWが二人いる。だがアーセナルでは。中盤と前線を繋げたうえで、得点までもを挙げなくてはならない。これはどんな選手にとってもハードなミッションだといえるだろう。
だがこの数ケか月間は、ラカゼットがついに不動のストライカーの座を手にするだろうという兆しが見え始めている。
変化が始まったのはウルブズ戦で、彼は途中出場から素晴らしいゴールを沈めて見せた。それ以降の試合ではラカゼットはシャープな動きを見せ、そして何より重要なのはラカゼットがゴール前で落ち着き払っていたということだ。
自信に満ちたその姿は、かつてのラカゼットを彷彿とさせる。
もちろん皆さんご存知の通り、FA杯の準決勝と決勝の主役はオーバメヤンだったが、ラカゼットの貢献に言及しないのはアンフェアだろう。そして、今季の二試合でも彼は良いスタートを切った。
ラカゼットは二試合で二得点を挙げ、どちらもアーセナルの勝利に必要な得点だった。そして、元来彼はビッグゲームでの活躍できるタイプなのは言うまでもないだろう。
上位チーム相手にラカゼットは脅威であり続け、トップ4への返り咲きとヨーロッパリーグ優勝を目指すアーセナルにとってはこれは必要なクオリティのはずだ。
今のラカゼットの調子がどこまで続くか見てみようではないか。
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コメント一覧
ラカゼットが、アーセナルでしてるプレイをできる選手はいない(本人もあまり巧くないが)。歴史の中で考える。1994年W杯決勝。強力なFWを8人で取り囲む戦術。これ以降、強力なFWはサイドに張る様になった。ポゼッションを重視し、ゴール前で、一対一(キーパー含めると2)をどう作るかが、基本となった。一定の成果は上がった。しかしそれにNOと言ってるのがプレミア。だからこそベンゲルはジルーを呼び、ラカゼットを呼んだ。