アーセナルのオーナースタン・クロエンケによるアーセナルの負債の借り換えについて
アーセナルの財務に関して、ちょっと興味深い動きがあったので、例によってASTのレポートとSwissRamble氏のツイートを参考にまとめてみました!
負債の借り換え
7/9に、アーセナルのオーナーであるスタン・クロエンケがオーナーを務めるKSE UK(実質的に英国内に保持しているのはアーセナルFC関連の企業のみ)からの融資により、アーセナルホールディングスがエミレーツスタジアム建設時の負債を8/14に利息分も含めて早期償還すると発表。
アーセナルが支払いを残していた負債の合計は94mの固定金利債+50mの流動金利債で144m。ここに利息分と早期償還のペナルティを加えると、トータルで184m程度になるとASTは試算している。
したがって結果的にアーセナルの抱える負債は40m増えることになるが、借主がスタン・クロエンケとなる。同じくASTはクロエンケがアーセナルを完全買収する際にドイツ銀行から得た500m£融資の返済期限が迫っており、退院具的にその分の借り換えと関連があるのではないかと指摘。(例えば、500m£ではなく、今回の分も含めた700m£の融資を要請するなど。借り先はドイツ銀行とは異なる金融機関になる可能性も。)
もちろんあくまで融資なので、これはクロエンケがポケットマネーをアーセナルに出資した、というわけではない。
また、特に影響はないかもしれないが、これを受けてトッテナムが申請していたような、イングランド銀行(=日本でいう日銀)のCOVID-19に影響を受けた企業の支援融資スキームの対象からは外れることとなる。
与える影響
短期的にアーセナルの資金繰りが楽になるのは間違いない。
これまでアーセナルは保持しているキャッシュのうち、DSRAと呼ばれる、経営が悪化しても借金の返済能力があるということを示すために口座にキープしておかなければならなかった36m£に手を付けることができるようになる。
また、アーセナルとKSEがどのような条件で融資の契約を結んだかが公開されていないため、まだわからないが、固定金利債の年利は5-6%と現在より大分相場が高かったため、今の大体の相場で借り換えということになれば、今まで毎年アーセナルが支払っていた20m£という額は5-10m£程度に減り、アーセナルの負担が減る可能性がある。
(ただ、金利を先払いしたうえで、KSEへの利息がのるので、負債の総額は増えており、支払う額のトータルが減るわけではない。)
ただし、フットボリスタで書かせてもらった通り、アーセナルは100m超え規模での減収を見込んでいるので、これでアーセナルの経営が一気に楽になる、といったような劇的な影響があるほどではないはず。
残念ながら、浮いた36m£+猶予の出来た年額10m£でトーマス・パーティ獲得だ!!!というほど世の中甘くはなさそうです。笑
参考:
Interesting. Arsenal announce that they will redeem their fixed rate bonds, financed by a loan provided by KSE #AFC https://t.co/K6kpgCn1hj
— Swiss Ramble (@SwissRamble) July 9, 2020
ディスカッション
コメント一覧
テクニカルな部分はわかりませんが、これだけ金利が下がれば借り換えなりもわかりますね、不確実な世界でインフレなりリスクへの備えもあるし
あとはベンゲルが語ったスタジアム建設後銀行からの人件費50%指示とかffp辺りでしょうか
すでに取締役会は牛耳ってますしKSEにそれなりの利潤が生まれると考えるほうが自然で、
利益以外の目的があるオレガリヒや中東オーナーと違って、民主化したオーナーがポケットマネーを出す意味は合理的に考えて薄いでしょうね