【戦術分析】アルテタのアーセナル 前編
アルテタの時代がついに始まり、アーセナルはユナイテッド相手に2-0での勝利を収めた。あけましておめでとう!
ウナイ・エメリの18か月とユングベリの数週間を経て、アーセナルは新たな監督の元、新たなアイディア、新たな指示、そして新しいパターンが始まった。
ボーンマス戦とチェルシー戦ですでにポジティブな兆しは見えていたが、結果はついてこなかった。だが水曜日にはついに、結果も得られた。今回は、1試合にフォーカスするのではなく、アルテタのチームの何が機能し、初勝利につながったのがか分析してみたいと思う。
アーセナルのビルドアップ
一言でいえば、忍耐強く、後ろから、冷静に、とうことになる。エメリ時代も忍耐強くはあったものの、目的が感じられず、ミスに追い込まれることが多かったが、アルテタ下では選手は常にオプションが与えられ、より期待が持てる。
ここまでのところアーセナルがボール保持時には前と後ろで5-5に分かれることが多く、左サイドのコラシナツあるいはサカは、ビルドアップ隊から外れ、サイドでオプションとなって、相手のMFを相手取り、ジャカへのプレッシャーを軽減する役割を果たす。
左サイドではジャカがルイスの横まで下りてくることが多いが、逆サイドのナイルズは、サイドに残り相手を押し広げることもあれば、中央に入って数的優位を演出することもある。
ジャカが中央に残ることもあり、この場合はルイスがよりダイレクトに中盤にボールをパスすることができる。
だがより重要なのは、これにより、相手を広げられ、アーセナルの選手のボール保持時のオプションが増えるということだ。
ルイスとジャカは二人とも、ライン間をブレイクするパスを生かして輝いており、コラシナツやオーバメヤンの深い位置での走り込みを利用して、より時間を得ることができる。
右でボールを回し、最終的に左のルイスとジャカにスイッチする、というパターンもよく見られている。特に前半、ナイルズが落ち着いてボールをキープし、ドリブルで前に進むという脅威をちらつかせながら、最終的に時間とスペースが与えられてルイスにボールを預ける、という場面が目立った。
アルテタは初練習で『相手をひきつけ、その逆でプレイするんだ』という指示を出していたが、このパターンはすでに実践に移されている。
ボール保持時にアーセナルはどう相手を攻略するか
上の例はアーセナルがどのように後ろから組み立てていくかを示しているが、さらに前線では、前の5人がスペースを作るべくいろいろな工夫がなされている。
ユナイテッド戦での5-5の分かれ方は顕著に見て取ることができた。まず、コラシナツとペペを両サイドに置き、横幅を広く使おうという意図が見えた。
ラカゼットは後ろに降りてきて、そこでボールをキープしたり、相手選手たちの相手をするが、一方で、オーバメヤンはその空いたスペースにワンビサカを連れて走るため、左はコラシナツの独壇場となっていた。
Athleticのジェームズが指摘した通り、これはアーセナルがウォームアップの時から練習していた動きで、このパターンを狙う場面は何度か見られた。ラカゼットは何度もジャカにコラシナツを狙うようシグナルを出していたし、コラシナツをマークしようとすれば今度は逆にラカゼットについて中盤に降りてくる余裕があるのかと考えあぐねることになった。
先制点の場面ではオーバメヤンが中に入り、その後ワンビサカの裏でボールを受け取り、リンデロフをつり出すことに成功していた。
コラシナツがうちに入って再びボールを受けた際には、ガナーズの三人の選手(フロント5のうちの残りの3人)がボックス内でボールを待っており、スペースをもってボールを受けられたのはペペだった。
これは、アンリが語っていた、グアルディオラの戦術とも通じるものがある。彼はサイドチェンジを好まず、逆サイドに流れることを許されていなかったそうだ。ファイナルサードでは自由が与えられていたが、それまでは厳密にプランを遂行することを彼は選手たちに求めたのだという。
今回アーセナルが見せた攻撃と、アルテタのシティでの3年半が偶然の一致だとは考えづらい。
(後編に続きます)
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