アーセナルはザハ獲得というギャンブルに打って出るべきなのか
アーセナルのザハの獲得が噂される、というのはファンにとっては非常に奇妙な経験だ。彼がアーセナルのチームに必要な素質を備えているのは間違いないが、どうやってアーセナルは資金をねん出するつもりなのだろうか。ザハは80Mの値札がつけられているといわれているが、アーセナルはこの夏の予算が総額で40Mと言われている。
アーセナルの一発目の40Mでのオファーは即座にパレスに拒絶されたようだ。ここからの問題は、アーセナルがザハ獲得に関してどれくらい本気なのか、という点だ。
アーセナルの自立型のモデルと、それのもたらす制限のおかげでアーセナルファンはチームを応援するチアリーダーというよりも、むしろ会社の予算管理のチーフのような考え方をするようになった。移籍の噂で単純に盛り上がれる時代は終わってしまったのだ。
ここまでのところ、ザハ獲得の噂がもたらした興奮はコストへの懸念が打ち消してしまっている。万が一何とかしてアーセナルがザハ獲得の費用をねん出できたとしても、それを全て一人の選手に使ってしまうことは賢いといえるだろうか?
Embed from Getty Imagesもちろん、ザハはアーセナルの今のチームにかけるクオリティを備えている。エミレーツは深刻なドリブラー不足で、サンチェスやチェンバレンがチームを去ってもアーセナルは代替選手を獲得することはなかった。ザハのボールを運ぶ能力はアーセナルの攻撃を多様なものにしてくれるだろう。
また、ウェルベックがチームを去ることで、ポジション的に融通のきくFWをアーセナルは必要としている。ザハはパレスで中央でプレイしたこともあり、エメリはここまで典型的なウインガーを起用することは好んでおらず、中央でも仕事のできる選手をサイドで起用するのは大歓迎だろう。
ウェルベックの最も貴重な能力の一つは、試合にある程度のカオスと予想不可な要素をもたらすことが出来るという点だった。昨季のエメリ戦術はサイドバックからのカットバック一辺倒だったが、ザハがいればバリエーションははるかに増えるだろう。
ザハはパレスで昨季10得点5アシストを挙げており、これは確かに世界トップクラスとは言えないかもしれないが、イウォビやムヒタリアンといった選手たちよりも遥かに結果を残しているのは事実だ。そして、パレス時代よりもアーセナルでのほうが得点とアシストの機会は増えるため数字はより伸びるだろうという見方も出来る。
恐らく、アーセナルからすれば、ザハがこの夏獲得できる可能性のある最高の選手だということなのだろう。ファンからはザハではなくニコラ・ペペのほうが良いという声も聞こえるが、彼はバイエルンやリバプールからの興味が噂されている。そんな選手がCL出場権のないアーセナルをわざわざ選ぶ理由があるだろうか?
もしアーセナルがザハを本当に獲得するとしたら、40Mをはるかに上回る額を払う必要があるだろう。恐らくそれは彼らもわかっているに違いなく、もしかするとこれは長期間にわたって続く交渉の初めの一歩なのかもしれない。
問題は、ザハがパレスの中心選手であるということだ。ワンビサカを売却した直後であり、彼らは特に金銭的に売却の必要に迫られているわけではない。それどころか、恐らく彼らはザハにワンビサカよりも高い移籍金を要求するのは当然だと考えるだろう。
そして、結局のところアーセナルはこの遺跡を実現させるだけの予算がない。これは、ガナーズがCL出場権を得ていればまだ可能性があった話かもしれないが、その分の予算の上乗せなくしては不可能だろう。だからこそ、ザハは騒ぎを起こして移籍金を引き下げようとしているに違いない。
Embed from Getty Images万が一アーセナルがなんとかしてパレスの要求金額を下回るオファーを受け入れさせることに成功したとしても、そのような大金をウイングにはたくべきなのかという議論は残る。
アーセナルの昨季の失敗は、むしろ堅実な守備を築けなかったことで、もしザハに何十Mも費やせるのであれば、トップクラスのCBを獲得し、前線は若手に任せた方がチームにとっていいのではと考えるファンも多いだろう。
チーフスカウトのスヴェン・ミスリンタートが去り、アーセナルフロントの支配権はサンジェイが手に入れた。そしてこの夏がそれ以後最初の移籍市場だ。そして、これはエメリがある程度意見できる最初の市場でもある。もしこの二人がザハに大金を費やすことを決定するのだとすればそれは大きなギャンブルとなるだろうし、そのギャンブルの結果が二人のキャリアを占うことになるだろう。
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