アーセナルはこの夏グラニト・ジャカを売却すべきではない
公式には移籍市場は今週オープンしたばかりだが、アーセナルに関して、多くの移籍の噂がにぎわっている。普段であれば、ファンが最も盛り上がるのはスター選手の獲得のはずだが、今のところ、SNS上で最も盛り上がりを見せていたのは、売却の噂だった。
インテルが50M£でグラニト・ジャカの獲得に興味を持っているという噂が流れ、アーセナルサポーターが色めき立っていたのだ。
その主な理由は二つ考えられる。アーセナルが金銭的に窮しているということと、ジャカが一貫性を持った活躍を見せられていないということだ。
ファンは、アーセナルのこの夏の予算が40Mしかないという報道に機敏に反応した。彼らの間で、それ以上の金額をかけてのアーセナルの再建が必要だという認識が共有されている。
ここまでのところ、アーセナルは売却に失敗してばかりだ。ラムジーとウェルベックをフリーで失ったことがそれを象徴している。
彼らはリバプールがスアレスやスターリング、コウチーニョという選手を高額で売却することに成功し、またアイブやソランケといった選手からもそれなりの移籍金を引き出したことから学ばなくてはならない。
仮に誰かが本当にジャカを50Mで買い取ろうとするのであれば、これは素晴らしい可能性に思える。彼のポジティブなプレーは常に失点者のミスと隣り合わせだ。彼の才能に疑いの余地はないが、集中力に問題を抱えているようだ。
ジャカは26歳で、キャリアのピークを迎えようとしているところだ。また、契約年数も残っており、このおかげで現在のアーセナルの選手のうちで、市場価値がある数少ない選手の一人だ。もしアーセナルが選手を売却して資金をねん出しようとしているのであれば、売却候補はそこまで多くない。
だが、同時にアーセナルはチームの全てを取り換えてしまうわけにはいかない。シーズン終盤が非常に残念な結果に終わったことで、『すべて1から作り直そう!』というアプローチが人気を集めるのもわかるが、さすがにそれは感情的すぎる。
アーセナルに変革が必要なのは事実だが、同時に基盤となる部分を傷つけないように注意を払うことも必要だ。
とはいえ、ジャカがチームの中心になるべきだと主張したいわけではない。もしかすると、トレイラとゲンドゥージという若手二人を中心に据えたチーム作りも可能かもしれない。
だが、アーセナルの中盤は現状オプションに恵まれていない。ラムジーは去ったし、エルネニーも戦力外だ。ゲンドゥージは確かに可能性を感じさせるが彼はまだ20歳で、彼に来季アーセナルの中盤に君臨するよう要求するのは流石に酷だ。
ジャカは売却に適した年齢と言えるかもしれないが、それは同時に、変革を迎えるチームに落ち着きと経験をもたらすのに適した年齢であるということでもある。もしかすると、来季はゲームキャプテンを何度も務めている可能性すらある。
Embed from Getty Imagesもしかすると、ジャカがどうなるかはもう一人のプレイメイカー次第かもしれない。EL決勝でのウィロックとの交代に象徴されるように、クラブ側はエジルの売却に全力を尽くしているようだ。
エジルを放出することに対する金銭的なインセンティブは明らかだ。もしクラブと選手側双方が受け入れられるディールが見つかれば、間違いなく実行されるだろう。
だが、その場合、アーセナルはビルドアップに不可欠な選手を同時に二人失う余裕があるのか、という問題が残る。
彼らにも欠点はあるとはいえ、ここ数年のアーセナルはジャカとエジルの組み立てを中心にチームを回してきた。ひと夏に彼ら二人共を失ってしまうのは問題となる可能性がある。
史上での効率性を増すため、フットボール長のサンジェイは、選手に契約最終年に突入させることはない方針だと認めた。そうだとすれば、契約を二年残した段階で選手の将来について決断する必要があるということになる。
ジャカは一年前に新契約を結び、まだ4年契約が残っている。この夏でなくとも、ジャカを売却して移籍金を得る機会はまだあるだろう。
この夏はあまりに多くのMFがアーセナルを去る可能性があり、ジャカを手放すのに良いタイミングとは思えない。彼はそこまでファンの間で人気がないかもしれないが、だからと言ってチームに必要ではないというわけではないのだ。
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