ヘクター・ベジェリン: 次世代のアーセナルのキャプテン候補
今季の終盤は、いくつかの理由でアーセナルファンにとっては非常に憂鬱なものだった。だが、そんな中、ベジェリンの存在が少しばかりの希望を与えてくれた。
彼はモダンフットボール界に蔓延する悪に立ち向かい、商業的な思想に支配されるサッカー界で自分の思うところを正直語るつもりがあるようだ。
今アーセナルファンはクラブの価値観やチームの信条がわからなくなりつつあるかもしれないが、ベジェリンに限っては、自身の個人的な倫理観に揺らぎはないようだ。
先日、彼はアラバマ州の中絶を制限する法律についての反対をツイッター上で表明し、これは"全人類"にとって重要な問題であると強調した。そして、サッカー界の他の選手たちにも意見を表明するよう呼びかけたのだ。
そして、これまでにも彼は幾度となく、社会問題や人種差別に関して、自身の意見を表明してきた。
ベジェリンは、波風を立てないように、面倒ごとに巻き込まれないように、といったスタンスで意見を表明することはしない。彼のファッションを見てもそれは明らかだろう。
Embed from Getty Images奇妙なことに、『ベンゲルアウト』のキャンペーン中にはベジェリンもターゲットにされたりもしてきた。彼は目立ちやすく、安易な標的だっただけではなく、美しいが中身がない、と形容されたアーセナルの象徴とされてしまったのだ。
だが、今季ベジェリンは素晴らしい活躍を見せ、このような話はもう聞かなくなった。彼は、監督の交代によって最も成長した選手の一人で、19試合で5アシストを記録、ピッチの両側で効果的な選手となった。
不運なことに、ケガにより彼のシーズンは途中で終了してしまうこととなり、来季の秋冬までは復帰できないだろうが、プレイしていないときでさえ、彼は自分の信じる善のために戦うことをやめなかった。
彼への批判は、ベジェリンの興味が多岐にわたっていることで、サッカーに集中していないのではないか、というものが多かった。だが、彼のアーセナルとロンドンへの献身は明らかだ。
彼の英語にはロンドン訛りが混じり、他のチームメイトたちとは違い、オファーされた長期契約を結ぶのに全くためらいはなかった。
ベジェリンは最近24歳になり、成熟するとともにリーダーになれる器であるということを示している。18/19シーズンにエメリが任命した5人のキャプテンは誰もが長期的には続きそうもない。
チェフは引退したし、ラムジーはユベントスに去る。コシェルニーは9月には34歳になり、ジャカとエジルはアーセナルに長期的な将来があるのか定かではない。
ムヒタリアンの一件で、クラブの全員が、アーセナルは多様性と包括性に重きを置くクラブなのだと思い出したはずだ。この価値観をベジェリン以上に体現する選手がいるだろうか?
Embed from Getty Imagesほんの数年前にパレス戦での敗北で彼がどれだけファンから叩かれていたかを思い出してみれば、これはベジェリンにとっても大きな転換だ。
だが、リーダーの素質というのは彼らがいかに難しい出来事や挑戦に対して対処するかによって量ることが出来る。
その点では、ベジェリンは、批判によって自分の意志を曲げることは絶対にしなかった。彼は常に自分の信じる通りに行動し続けた。
これは、彼が信念を貫く男であることの象徴だ。今の時代には、このような選手はどんどん少なくなっていっている。アーセナルはベジェリンを丁重に扱うべきだ。彼のような選手が在籍していることは、ラッキーなことなのだから。
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