過去5年のアーセナルの補強をランク付け!
シーズンも佳境に差し掛かり、一年の終わりも近づいてきましたが、それはつまり夏の移籍市場の始まりも意味しており、色々な噂も賑わいを見せ始めてきました。最近ふとそもそも移籍市場っていうのはどれくらいの獲得が出来れば合格なのか基準がよくわからんな、と思ったので、あくまで参考ですが、過去5年のアーセナルの獲得選手を費やした金額、また特筆すべき放出選手と共にまとめてランク付けしてみました!
2014/15: B
- サンチェス 38M
- チェンバース 18M
- ウェルベック 18M
- ガブリエル 14M
- ドビュッシー 14M
- オスピナ 4M
- ビエリク 2M
サンチェスはチームメイトとうまくいっていないなどといった報道もあったものの、最終的には錬金術でムヒタリアンに姿を変えたし、それ以上に彼の独力でチームが救われた場面が何度かあったことを考えれば安い買い物だったと言えるだろう。今にして思えば、アーセナルがアウェイで弱すぎる問題はこの時から発病していたけれど、サンチェスのおかげで誤魔化せていたのかもしれない。
ドビュッシーは怪我とベジェリンの台頭があり出番があまりなかったものの、それ以外はビエリクはまあ一発当たれば儲けもの、ぐらいの青田買いの枠だろうし、ガブリエル、ウェルベック、オスピナあたりはまあ値段通りの活躍はしたと言えそうだ。ウェルベックとオスピナはむしろお得かもしれない。
まだ唯一今後どうなるかわからないのがチェンバースだが、恐らく売却されるにしても18Mくらいの値札はつきそうだし、もし逆に覚醒してワールドクラスのCBになったりすればこの年の評価はAに改める必要があるかもしれない。
現状ではとりあえずBということで、この先の4年はこの2014/15シーズンと比べてどうだったかを一つの基準にしながらランク付けをしていく。
2015/16: D
- チェフ 13M
- エルネニー 11M
別にチェフやエルネニーの働きが悪かったわけではない&あくまで結果論に過ぎないのだが、この年はアーセン・ベンゲル/アーセナルフロント痛恨の移籍市場となってしまった。
アーセナルとトッテナム以外のトップ6が大失速し、まさかのレスターが大躍進、最終的に優勝となったわけだが、エジル、サンチェス、とスタジアム建設の借金返済の目途が立ってからは高額のスター選手を加え続けてきていただけに、例えばこの年にベンゼマやラカゼットなりストライカーか、あるいはCBでも一人くらい加えておけば、アーセナルはリーグ優勝できていたのではないだろうか。
2016/17: C
- ジャカ 40M
- ムスタフィ 37M
- ペレス 18M
- 浅野 4M
- ホールディング 3M
さて、この年もアーセナルにとって成功だったとはいえない。グナブリーを二束三文で売り払った以外は特に売却も目立つものはなく、その一方で爆買いの一年となったのだが、この辺りからデータ会社の買収によるスタッツを重視して選手の補強の方針を立てているなどといったうわさが流れたりと若干迷走気味な移籍市場となってしまった。そして、もちろんそれが如実に結果に現れ、ついにアーセナルはCL出場権を逃してしまうことになったのである。
まず、明快なところからはじめると、浅野は残念ながら大外れ、価格がそこまで高くないので傷は浅いが、日本人として応援したい気持ちはあるものの、ここまで売却にも苦戦しているし、浅野の獲得は失敗だったと言わざるを得ない。
同じく大失敗だったのがペレスで、こちらはプレイ自体は悪くなかったと思うが、何故かベンゲル監督から信頼を得ていないのは明白で、監督が欲しがっていない選手を連れてきても仕方がない、という感じではあった。
そして、ムスタフィも言うほど悪くはないとはいえ当時の37MというのはCB世界最高額クラスで、今でいう50Mくらいに相当してもおかしくない額である。そう考えると物凄くお金を無駄にしてしまった感は否めない。そもそも今の相場でも37MあればかなりのCBが買えそうだし、今更ムスタフィを売却したところでとてもじゃないが30Mはつかないだろう。
ジャカも悪くはないと思うが、40Mといわれるとまあ別に他に代役が立てられそうな気はしなくもない。獲得当時にはアーセナルの中盤の絶対的な選手になると予想されていたのと比べると少し物足りないような感じではある。・・・というかまあ、出場試合数的には絶対的な選手になっているのだが、とりあえず失点につながるミスをなくしてくれ。
この年の一筋の光ともいえるのがロブ・ホールディングで、もちろんまだ今後はわからないとはいえ、ここまでの活躍だけでも3Mはすでに大バーゲンといえるだろう。アーセン・ベンゲルが見出した最後の若手ということになるかもしれない。しかしそれにしても、ホールディングが浅野より安いというのは衝撃的だ。
2017/18: B
- オーバメヤン 57M(冬)
- ラカゼット 48M
- ムヒタリアン 30M(サンチェスと交換、冬)
- マヴロパノス 2M
- コラシナツ フリー
まだほんの一年と少し前のことなのだが、これもまた意見が分かれるところで、まずラカゼット獲ったのにオーバメヤン!?のまさかの連続ストライカー獲得は衝撃的ではあったものの、現状二人ともぴったりチームにフィットしており、特にどちらかの獲得が無駄だったというわけでもない。
また、ムヒタリアンは週給が非常に高いのでその分の活躍を見せられているかと言われれば微妙ではあるが、サンチェスをフリーで失う一歩手前まで来ていたことを考えると、悪くない取引だと言える。欲を言えば、夏の段階でアーセナルが企んでいたと言われる、サンチェス売却からのレマー獲得、が実現していたらどうなっていたのかは非常に興味深いが。
コラシナツもまだまだ不安定とはいえ、みんな大好きフリーなので、大成功だと言えるだろうし、マヴロパノスもまだわからないがこちらも博打枠なので当たれば儲けものだろう。
といわけで、この年の獲得選手はみな良い活躍を見せており、獲得選手の質だけで言えばランクをAにあげてもいいくらいなのだが、問題は売却である。
この年にアーセナルは夏冬合わせてジルー、ウォルコット、チェンバレン、サンチェス、シュチェスニー、コクラン、ギブス、ガブリエルと怒涛の売り尽くし大セールを実施。シュチェスニーは安すぎた感が否めないものの、他はそこそこの価格で売却することに成功している。総売却益なんと110M!ここで選手獲得にかかった額をもう一度見て欲しいのだが、合計で107M、ということはつまり一年で1円も移籍金を使わないどころか売却で黒字を出してしまっているのである笑
こう考えると、何十年ぶりかにCL出場権を逃した翌年に一銭も使わない、ではなにをやっているのかわからない。獲得した選手の質に関しては納得であるものの、もう2,3人獲得すべきだったのではないだろうか。特に、今もウイングは獲得課題として挙がっており、サンチェス、ウォルコット、チェンバレンとサイドの選手を3人も一気に放出してしまったのは少し痛かった。
2018/19: A
- トレイラ 27M
- レノ 23M
- ソクラティス 14M
- ゲンドゥージ 7M
- リヒトシュタイナー フリー
という流れで去年の夏に繋がるわけなのだが、これはもうミスリンタートのダイヤモンド・アイここにあり、というしかないだろう。やはりドルトムントで錚々たる面子を発掘した手腕は伊達ではない。
即戦力として獲得したレノとソクラティスは一年目から不動のスタメンに定着し、チームを何度も救っているし、トレイラとゲンドゥージのペアは将来性も含めて考えると、何年か見合った大活躍をしたうえで、巨額の移籍金を残していってくれる可能性すらありそうである。
唯一微妙といえなくもないのがリヒトシュタイナーだが、とはいえフリーだし、ベジェリンの控えという意味ではそれなりの穴埋めは見せてくれた。また、これは能力というよりも監督招聘よりも前に獲得を決めてしまったために監督がサイドバックに求める性質とマッチしなかったという影響も大きそうだ。
過去の選手獲得と比べても分かる通り、ここまで無駄がない夏の補強は非常にレアであり、いかに今年の選手獲得があたりだったかというのが見て取れる。悪いニュースとしてはもうミスリンタートがアーセナルを去ってしまったことなのだが、恐らく今年の夏くらいはその遺産で良い選手獲得が出来るだろうし、その間にCL出場権を獲得して、予算的にもう少し余裕をもって獲得が出来るようになりたいところ。
ハードルが上がり切ってしまっているが、サンジェイと彼が近々任命するであろうテクニカルディレクターやチーフスカウトがこの夏どのような動きを見せるかに注目したい。
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