ヨーロッパリーグのジレンマ
木曜日のナポリ戦はついに本当の意味でのヨーロッパでの試合に感じられた。ついに、アーセナルは互角の相手と向かい合うことになったのだ。
もちろん、ヨーロッパリーグは簡単だなどというわけではない。アーセナルは自らバテ戦とレンヌ戦を難しいものにした。だが、突破が簡単かどうかは別として、どうしても少しELは退屈な印象がぬぐえない。
退屈なELグループステージ
グループステージは練習試合を除けばアーセナルの試合の中では最もつまらない部類に入ると個人的には思う。私はリーグカップは嫌いではないが、ヨーロッパリーグのグループステージはなぜか非常に気合が入らないように感じる。
だが、アーセナルとヨーロッパの大会は今奇妙な関係性にある。アーセナルのヨーロッパでの戦績を考えれば、我々はELなど大した価値はないといえる立場にはない。最近の優勝チームにはユナイテッドやチェルシー、アトレティコといったチームがあり、これらのチームはヨーロッパリーグ優勝を本気で狙っていた。だが、グループステージに関して言えば、いつの時代も少し魅力を欠きがちなのは事実だ。
皮肉なことに、アーセナルは優勝することを望めない大会への出場権を得るために、出場したくない大会での優勝を目指さなくてはならないのだ。CL出場権の獲得がEL優勝の最も魅力的な報酬の一つで、今のアーセナルには十分にチャンスがあるといえよう。
そういった意味ではヨーロッパリーグも悪くないのかもしれないが、四月までは手に汗握るような試合、というわけにはいかないのは確かだ。
そして、CLでグループリーグ敗退となったチームがヨーロッパリーグに降りてくる、というのもこの大会のステータスを示す象徴的な制度だ。もちろん、威厳があるかどうかでその大会の価値が代わるというわけではないが、やはりもう少し大会全体を通して面白い試合があればと思わざるを得ない。
熾烈なトップ4争い
プレミアリーグには今や、CL出場クラスのクラブが6つあるが、UEFAから与えらえた椅子は4つしかなく、そのおかげでリーグはさらに面白くなっている。かつてはアーセナルファンにとってはトップ4争いはヨーロッパリーグと同じように退屈に感じられたものだが、ここ数年トップ4にも入れない時期が続いたことでそのような気持ちは消し飛んでしまった。
スパーズやチェルシー、ユナイテッドが我々の上位でシーズンを終えCLに出場しているという事実がよりライバル心を煽り、競争が面白くなっている。だが、これが単純にスポーツ面での争いなのかと言われると疑問が残る。
正直に言って、CLのグループステージも、ヨーロッパリーグと同じくそこまでレベルが高いわけではない。どちらかといえば、クラブの収益稼ぎの場のようなものだ。だが同時に、そもそもアーセナルがCL出場すること自体が収益目的なのではないかともいえる。現実から目を背けるのはやめよう。アーセナルがチャンピオンズリーグで優勝する確率は、私が明日金の卵を産む確立と大体同じくらいだ。
だが、それにもかかわらず、アーセナルが連続してCL出場権を逃し、何度かパニックバイを行ったことでクラブのバランスシートには目に見える傷が残っている。アーセナルは選手たちにCLクラスの給料を払っており、かつ彼らから売却益を得ることは望めそうもない。
アーセナルはエジル、ムヒタリアン、オーバメヤンを獲得するという短期の利益を見据えたギャンブルに出たのだ。彼らの給料を賄い、さらに再建を進めるためには、CL出場権を取り戻すしかない。
そしてもちろん、我々は金欠のあまりに冬に1ペニーもはたけなかったクラブだということも忘れてはならない。このおかげで、今のような奇妙な状態が生まれてしまっているのだ、ある意味では、まるで降格争いをするためにプレミアリーグに昇格してくるような2部のチームと状況は似ているかもしれない。
先日私はポッドキャストで、EL優勝とCLベスト4進出、どちらを望むかと聞かれたがこれは非常に難しい質問だ。なぜなら、今のサッカー界の性質上、全てはお金が優先で、それ以外のこと二の次になってしまいがちだからだ。
互角の勝負が見込めるナポリとのELでの試合は、バルセロナやバイエルンに惨殺されるCLの試合よりも恐らく楽しめるだろう。だが、最近はメガクラブもそこまでの勢いはなく、CL自体が劇的な展開が増え、より面白いものになっている。
それにもかかわらず、それを指をくわえて眺めることしかできないのは確かに悔しさもある。個人的なヨーロッパリーグへの感情はさておき、我々は皆、アーセナルがどこに所属するクラブなのかはわかっているはずだ。とにもかくにも、まずアーセナルは目の前のナポリ戦を突破する必要があり、サポーターはヨーロッパリーグにさよならを言うためにヨーロッパリーグ優勝を目指す、という少し気まずい感情のお手だまをいましばらくは続けることだろう。
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